交通事故における共同不法行為と判例

多重事故と一口に言ってもいろいろある

画像にあるような多重事故の調査を何度かやったことがある。ぼくがやったのでは最大10数台が絡むトンネル内での多重事故があった。他にも鉄橋上での冬季のスリップ多重事故だとか、坂道上での多重事故だとか。いわゆる玉突き事故が多いが、必ずしもそれだけではない。逆突も中に含まれているかもしれないし、2台間の追突事故が最初にあって、その直後、後続車がつぎつぎに追突するようなケースもあった。このような多重事故の場合に問題になるのが、共同不法行為である。

共同不法行為とは

民法719条(共同不法行為者の責任)
1 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

 
法律の条文ではこうなっているけれど、ここはそんなこむずかしい話はなしにして、先の玉突き事故を例に説明したい。
 
信号待ちのために赤車・黄車・青車の順で停止していたとしよう。そこへ、緑車が青車に追突。その結果、青車→黄車→赤車と順次追突したとしよう。典型的な玉突き事故である。この場合、過失があるのは緑車だけである。他の赤車・黄車・青車は過失がない。したがって、緑車が全損害を賠償する責任がある。これは、加害車は1台なので、加害車が複数いることを予定している共同不法行為ではない。では、青車に道交法24条違反の理由のない急停止(注)をした結果、緑→青→黄→赤と順次追突した場合はどうだろうか。この場合は、理由のない急停止をした青車にも過失が生じるため、青車、緑車の2台が加害車である。これをさして共同不法行為という。

共同不法行為であるといえるためには、要は、過失のない被害者は1人でも複数でもかまわないが必ず存在すること、過失のある加害者は必ず複数存在することを要するのだ。
 
(注)「道交法24条違反の理由のない急停止」については、「追突事故で、追突された側にも過失が生じる場合」という別記事で詳しく書いた。

相談

深夜1時過ぎ、片側2車線の高速道路上で、3台のトラックによる衝突事故がありました。その事故で、3台目のトラックの運転をしていた身内が亡くなりました。事故の経緯は以下の通りです。

トラックA(1台目)が高速の路肩で故障か何かで停車していた。そこへ、第1車線を走行していたトラックB(2台目)が追突した。その弾みでトラックBは車体が横向きになり、全車線を塞ぐ形となりました。そこへトラックC(3台目)がトラックBに衝突しました。前2車の運転手は軽傷だったが、Cの運転手は全身を強く打って死亡しました。

車線が塞がれた以上、トラックCは避けようがなかったと思うのですが、車間距離不足や前方不注意という理由で過失が問われることになってしまうのでしょうか。トラックAのハザードの有無など、警察がまだ捜査中のため詳しいことはまだわかっていません。

1事故なのか2事故なのか

警察の捜査が終わるまで待たれた方がいいと思いますが、現状で確認できることやこのような事故での基本的な考え方をお答えしたいと思います。

相談者にまず確認したいのは、本件事故は1事故扱いなのか、それとも2事故扱いなのかということです。まずはその確認が必要です。

どういうことかと言うと、3台の事故がほぼ同時に同場所で発生したのならそれは1事故扱いになります。しかし、そうではなくて、A車とB車の事故が発生した第1事故がまず最初にあって、その後、それとは無関係にC車が衝突したなら、因果の関係がそこでいったん切断されたことになります。したがって、事故が2つあったことになる。3台の事故が発生する一連の時間の流れがどうなっているのかによります。

たぶん、現状ではわからないでしょうから、簡単にそのことを推測できる方法があります。すなわち、交通事故証明書を取り付けてみることです。事故証明書が1枚で処理されているなら1事故扱いになるし、2枚で処理されているなら2事故扱いになります。警察が本件事故をどのように判断しているかの推測が、交通事故証明書を取り付けることで可能になるのです。

1事故扱いなら多重事故による共同不法行為になる

ぼくが1事故扱いなのか2事故扱いなのかにどうしてこだわるのかというと、以下の理由があるからです。もし1事故扱いなら多重事故による共同不法行為ということになって、不法行為が単に競合した場合と扱いが違ってくるからです。すなわち、共同不法行為なら、第1に、共同不法行為者のいわゆる不真正連帯債務になるため、過失割合の算定方法が違ってくる。第2に、被害者からみれば、不法行為の成立の主張や損害の立証の負担が軽減される。 すなわち、加害者からみた場合は、①因果関係の不存在の抗弁や②寄与度減責の抗弁の提出が認められないことになります。

多重事故だった場合、過失割合をどのようにして決めるのか

さて、多重事故だった場合、どのようにして過失割合を決めるのでしょうか。その根拠となるものは何でしょうか。

過失割合を決める際にバイブルのように重宝されている判例タイムズの過失相殺認定基準本は単一事故における2当事者間の1事故の過失割合について典型的なものを事故類型化したものです。しかし、現実には3当事者以上の多重事故当事者間で同時に事故が発生したり、あるいは異時に競合して事故が発生するいわゆる共同不法行為類型の事故も決して少なくありません。

単一事故については判タの過失相殺認定基準本から参考になりそうな事故類型をみつけてそこに載っている過失割合を引っ張り出せばすみます。しかし、いわゆる非典型事故についてはそこからの引っ張り出しはできず、個々具体的な適用場面である判例から考えるしかありません。なぜなら、単一事故と相違して非典型事故の中のとりわけ多重事故は事故状況が複雑になるため、単一事故のアナロジーでは律しきれないことが多いからです。

そのため日弁連は「寄与度と非典型過失相殺」という本まで出して、共同不法行為類型の事故について判例分析し論じているほどです。つまり、1事故扱いになった場合の3当事者以上の多重事故については判タの過失相殺認定基準本はまったく役に立たない。そして、前者は相対的過失相殺の方法によるが、後者なら絶対的過失相殺の方法によるため、算定式そのものが違ってくるのです。

では、多重事故というのはどういう事故のことをいうのでしょうか。簡便な方法としては交通事故証明書の枚数に着眼することを先に述べました。しかし、それはあくまで「推定」であって、実際は事故証明書の枚数通りでない場合もあります。すなわち、事故証明書では2枚になっており、まったく無関係の事故がたまたまふたつあったという扱いをされていても、実際は共同不法行為による1つの事故というのは、ありえることです。

けっきょくのところ、「3台の事故が発生する一連の時間の流れがどうなっているのか」で決まります。そして、この「一連の時間の流れ」を的確に把握するためには、調査手法を身につけているかどうか、そのための多くの経験があるのかどうかが問われます。そのような調査の経験があまりない人に頼っても結論は悲観的にならざるをえないでしょう。

「同時事故」の場合と、「異時事故であるが同時事故と同視し得る」場合と

共同不法行為に該当する多重事故というのは、「同時事故」か、あるいは「異時事故であるが同時事故と同視し得る」場合のことです。

まず「同時事故」というのは、「自動車同士が衝突して、同乗者や第三者が傷害を受けたときのように、各加害行為が同一場所において同時に行われた類型」です。たとえば、タクシーと他の車が衝突し、タクシーの乗客が負傷した場合などです。
それに対して「異時事故」というのは、「第1事故と第2事故の間に時間的経過が存在する類型」です。そして「異時事故であるが同時事故と同視し得る場合」とは、「異時事故」に属するが、「例えば、いわゆる玉突き事故の場合や、被害者が第1事故に遭った直後に対向車両や後続車両による第2事故に遭ったといった場合は、それぞれが事故の時間的・場所的近接性に照らし、同時事故と同視し得ることがあると考え」られるからです。後者の場合も共同不法行為として1事故扱いになります。(「交通損害関係訴訟」P260)

共同不法行為に関する判例

最高裁 昭和41年11月18日判決
タクシーがA運転の普通乗用車と衝突し、タクシーの乗客Bが負傷した事例。タクシー会社はBの損害を賠償した後、Aに対して求償を求め、さらに、タクシーの運転者もAに対して損害賠償を求めた。最高裁は、タクシーの運転者、タクシー会社、相手であるAの共同不法行為責任を認めた。

 

旭川地裁 昭和49年6月13日判決
凍結交差点上で、まず前方から後退してきた第一被告車に衝突され、すぐあとから第二被告車に追突された事故による受傷(外傷性頚椎症候群)につき、いずれの事故とも因果関係があるとした事案であり、当該事故につき、第一事故と第二事故とは共同不法行為であるとされた。ただし、後退中の車に警笛を鳴らすなどして注意を与え後方の安全を確認させず漫然進行した被害者に10%の過失相殺をした。

 

福岡地裁 昭和50年10月30日判決
A車が、自車の前方をいったん停止後に右折を開始したB車との衝突を回避するため、急制動をかけたが雨のためスリップし停止できず、右に転把し、センターラインを越えたため、B車に後続してきたC車と衝突した事故。右折に際し注意義務違反のB車と、注意義務、前方注視、減速を怠ったA車との過失割合は等しいものとした。共同不法行為者の1人が被害者に支払った部分についても、他の共同不法行為者に対し、過失割合に応じて請求できるとした。ABC:50対50対ゼロ。深夜の直線路上。事故前、Bは100m先にAを認知していた。

 

札幌地裁 昭和58年2月8日判決
自動二輪車を運転して走行中の被害者が、自車前方で右折した対向の加害車A車に衝突し、転倒したところを被害車後続の加害車B車、加害車C車に次々と衝突、轢過された事故。Aについては、右折中に直進被害車の動静にほとんど注意していなかった過失を、Cについては、速度違反及び車間距離不保持の過失認定した。

当事故について、被害者は、加害車ABCいずれとの衝突によって死亡したのかが明らかでないが、仮にA車との衝突は被害者を転倒させただけであったとしても、幹線道路で転倒させたことは後続車あるいは対向車がこれに衝突して同人を死に至らせることがありえることが容易に予見できるとして、A車との衝突と、被害者との死亡との相当因果関係を肯定し、ABCは共同不法行為者にあたるとし、Cについても被害車死亡の賠償責任を認めた。

なお、被害者については、右折車に対する動静の注意を怠り、適切な減速・回避をしていなかったものと認定。20%の過失相殺をした。

 

名古屋地裁 昭和61年1月31日判決
見通しの悪い急カーブの入り口付近でA社保有の大型観光バス2台(BC運転)が道路端に停車していたため、これを追い越そうと中央線を越えて対向車線を進行した貨物自動車(D社所有車)が対向の自動二輪車と衝突した事故。D社側共済組合が被害者に損害の全額を支払い、A社及びBCに対して賠償金全額について連帯して求償金の支払いを請求した事案。

D社、A社、B、Cの負担部分をそれぞれ82%、9%、4.5%、4.5%とし、ABCに対して、各自の負担割合に応じた求償金支払義務を認めた。

 

名古屋地裁 昭和61年6月11日判決
いやがらせのため、先行のA車を時速100キロ以上の速度でBC車が追尾中、B車がA車に追突、そのはずみでA車が道路脇電柱に衝突、A車運転者が受傷した事故。A車への追尾は、BC運転者らに客観的共同関連性ありとして、B車、C車の保有者並びに運転者らに共同不法行為の成立を認めた。当事故につき、道路中央線をまたぐように走行したり、道路左右に若干蛇行して運転した過失があるとして、動機、経過その他一切の事情を考慮し、A運転者に10%の過失相殺をした。

 

岡山地裁 平成6年2月28日判決
信号のある交差点において、X運転の右折車(先行加害車)が、横断歩道を歩行中のA(被害者)に衝突して転倒させ、左右各下腿後面皮下出血等の傷害を負わせた(第1事故)ものの、救護義務を怠り放置しておいたところその3分後、Y運転の直進車(後続加害車)がAを轢き死亡させた(第2事故)という事案。第1事故によっては比較的軽度の外傷を受けたにすぎないAを、Yが致命傷を与えて死亡させるに至ったものであるから、結果に対する直接的原因力の観点からみてYが損害全部を賠償すべき合理的根拠がある一方、Xは、比較的軽度の外傷を与えたにすぎなかったものであるとしても、第2事故は、第1事故の必然的結果ともいうべきものである以上、Xは、第1事故後、2次的事故が発生するおそれがあることを認識しながら救護義務を怠ったことが認められるから、XについてもA死亡による全損害を賠償すべき合理的根拠があるとした。その上で、第1事故と第2事故とが社会通念上は連続受傷による1個の死亡交通事故と評価し得ることを併せ考慮するならば、XYは、いわゆる客観的共同による民法719条1項前段の共同不法行為が成立するとした。

 

大阪地裁 平成6年9月20日判決
高速道路の追越車線上でスピンしたA車が斜めに停止し、切替えしのため走行車線に後退したところ、同車線の後続B車【被害車】が急停車したが、さらに後続するC車がB車に追突した事故。A車には後方の確認を十分に行わないまま後部を走行車線に進出させた過失があるとし、AとCの過失は共同不法行為にあたるとした。なお、B車にも、降雨のため制限速度時速50キロのところ、時速10~20キロ超過していたことから、20%の過失相殺をした。

 

東京地裁 平成7年9月6日判決
信号のある交差点手前をA車に後続して被害B車が直進中、対向進行し交差点を右折しようとしていた加害C車とA車が衝突(第一衝突)し、B車がA車との衝突を回避すべく対向車線上に進行し、右折のため対向車線上に停止中のD車と衝突(第二衝突)した事故。C車所有者と運転者に民法709条の損害賠償責任を認めたうえ、被害B車、加害C車の過失割合を各50%とした。

 

名古屋地裁 平成19年3月16日判決
信号のあるT字路交差点で、A車が転回しようとしたところ(転回禁止場所ではない)、対向第2車線を走行していたB車がブレーキをかけるとともに、左にハンドルを切ったが、第一車線を走行してきた後続のC車とB車の側面同士が衝突し、その後、C車がガードレールおよびA車と衝突した。本件事故は3台の車が関係する事故であり、時間的・空間的に近接しており、社会通念上も一体として捉えるのが相当であるとして、それぞれ他の2名が他の1名に対して共同不法行為になるとした。事故形態およびそれぞれの過失の内容から、ABCの過失割合は、8:1:1とした。

警察が2事故扱いにしたとしてもそこであきらめないこと

実を言うと、このことに関して以前相談を受けたことがあり、ぼくは以下のように回答しております。ご参考までに。

東名高速
2017年 3月 14日
初めまして本日仕事の移動中に非接触事故を起こしてしまいどうしたらよいのかわからず色々なサイトを観覧していましたらこちらにたどり着きました。誠に失礼ながら質問よろしくお願い致します。

高速道路80キロ程で走行中に事故は起こりました。スポーツ系の仮ナンバーを付けた5台位のグループの自分の前方を走る一台の車のクラッシュに巻き込まれた形になります。

車間距離もある程度あけてはいたのですが前方の車がいきなり煙を上げ左右に振られクルクル回転してしまいました。瞬時に何が起こったかよく分からずブレーキをかけるタイミングが少し遅れた意識はあります。とっさに衝突を避けようと急ハンドルと急ブレーキで運転の自由が無くなり相手との衝突は避けられたのですが、自分の車が中央分離帯に衝突してしまい大破してしまいました。

その後チームのような仮ナンバーの軍団がクラッシュした車に駆け寄り、車屋のようでその運転手にいれじえをしたようです。自分は一応車から降りガードレール外に避難しましたが、警察が来る前に事故車のみを残して去っていってしまいました。

警察の事故検証が始まり事情を説明しましたが、車間を開けていれば十分止まれたでしょ?の一点張りで別々の事故、自損事故で処理されました。

JAFで自分の車両を移動させて休憩していると、だんだんと体調がわるくなり救急車を呼びました。かなりのスピードでガードレールに衝突しており、車両はバン系なのでフロントガラスに思い切り頭を打ち付け流血しており病院で検査してもらうと額にガラスが入っていたり、どうやら肺に傷があるらしく検査入院になってしまいました。

病院が事故処理をした警察に電話をしてくれたようで後日診断書を持って行く約束をしましたが、単独事故扱いになってしまうのでしょうか。当然会社の保険を使いますが、相手に相当の因果関係を感じます。

今後どのようにアプローチして行けばよいでしょうか?よろしくお願い致します。

 
それに対する回答がこちら。

ホームズ事務所
2017年 3月 16日
たいへんお困りのようですね。回答します。

警察が自損事故扱いにしているのなら、事故証明書を取り付けてください。相談者の自損事故と相手の自損事故のふたつです。事故の発生時間と事故場所を確認し、いずれも近接していることをまずは確認してください。

このような事故状況なら、相手車がくるくる回っていてどのように対応しようか迷いを生じるのは当たり前のことです。その結果、危険回避がちょっと遅れるくらいはふつうにあることです。まして高速道路上の事故なのです。スピードが出ているわけだから、車間距離が多少あったとしてもそれは瞬時になくなってしまうものです。高速道路上では落下物でさえ落とした側に過失が問われる。いわんや、この事故状況においてをや。

ということで、高速道路上の巻き込まれ回避のための非接触事故や雪道の前車のスリップによる後続車の回避による非接触事故については、前車の動きが不安定・予測不能なところがあり、事故との因果関係が認められやすいことを覚えておいてください。

繰り返しますが、この事故状況なら非接触であっても事故との因果関係を認めてしかるべきです。警察が自損事故扱いをしているにせよ、この場合は無視してかまわない。警察に確認するのは、たとえば前車の事故発生時間と同じか1分程度の遅れであること。事故場所が近接していること、この2点です。

ぼくが調査をやっていたら、当然に非接触事故扱いですね。ただし、過失割合は相談者のほうが大きい可能性があります。

 
調査力のある弁護士か、この種の事故の経験豊富な調査員をまずは探してください。
 
【17・04・09追記】判例を5つ追加した。
【17・04・17追記】判例を3つ追加した。
 

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事務所所在地・連絡先

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石川県加賀市
電話番号:090-1314-0234

当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ

hitininnno
その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にする。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。よろしくです。

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