能登で起きた部活バス衝突 中学生2人死亡事故

北国新聞から北陸中日新聞に変えてみた

うちでとっている新聞を最近になって変えた。地元紙の北国新聞から北陸中日新聞にである。どうして変えたかというと、以前は販売店の方に新聞料金を自宅まで取りに来てもらっていたのだが、それではたいへんだと思ったので、販売店の意向もあり銀行振り込みに変更した。ところがしばらくして、販売店が、領収書を何か月分もためこんで、なかなか持ってこなかった。販売店の怠慢である。それで、妻がとうとう怒って新聞を変えてしまったのである。

ぼくはもともと北国新聞が大嫌いだった。今はどうか知らないが、自分のところのお偉いさんが何とかの名誉職についたことなどを記事にするというような、いわゆるちょうちん記事を恥ずかしげもなく記事にする新聞社だったからだ。ゴマスリは社内報ででもやったらいい。そのことを恥ずかしいとも思わず記事にしてしまう無神経さに腹が立っていた。

しかし、妻はぼくとは大違いなほど保守的な人で、地元情報が多いことと、チラシが多いこととで長年とっていた北国新聞がいいと言う。財布の紐も握っているから、新聞を変えてよとはいいづらかったのだ。販売店さん、よくやってくれた。どうもありがとう。

のと里山海道とは

で、さっそく北陸中日新聞の報道について書いてみる。事故の翌日の10月9日の北陸中日新聞の一面トップ記事のことである。表題の「部活バス衝突 中学生2人死亡」についてである。この事故のことで、ぼくのサイトに検索して訪問する人が何人もいたので取り上げる気になった。事故現場は、下の写真にあるとおり、片側1車線の自動車専用道路上である。
notojiko
【北陸中日新聞社より拝借しました】
 
ここは、ぼくが調査員だったころは「能登有料道路」という名称だったが、無料になり名称も「のと里山海道」に変わった。

のと里山海道

1982年、金沢方面と石川県能登地方を結ぶ自動車専用道路「能登有料道路」として全線開通。2013年に無料化され、今の名称になった。一部区間を除いて県が管理。同県羽咋市の柳田インターを境に金沢側約35キロは片側2車線で中央分離帯がある。残る約55キロは片側1車線で、大半が中央分離帯のない「対面通行区間」。最高速度は70キロに制限されている。

事故現場は中央分離帯のない対面道路

ぼくもこの道は仕事でよく通った。単に通過しただけでなく、この周辺で起きた自動車専用道路上の事故の調査を何度かやっていた。事故現場の画像を見たとき、また中央分離帯のないところなのかと、嘆息した。

ここは時速70キロに制限されているが、そんなのを守るクルマはほとんどいない。たいていは時速80~90キロくらいは出している。中には時速100キロ以上、110とか120とかもざらにいる。とりわけ事故現場周辺は高速で飛ばしているクルマが多い。職場に能登出身の奴がいたので聞いてみたら、まったくの同意見だった。そこが、中央分離帯もない対面道路なのだ。危険極まりないとはこのことだ。

職場では北国新聞と朝日新聞をとっていたので、今回、3つの新聞の報道を比べてみた。さすがは地元紙といわれる北国新聞である。3面も費やしていて、扱う分量が一番大きい。しかし、質のほうはどうかというと、事故原因に言及した記載が少なく、それも、事故当事者のヒューマンエラーに言及するだけでそれ以外の要因については警察の対面通行は重大事故になりやすいというコメントをもうしわけていどに載せているだけだ。多くは、遺族などにむかって「お気持ちは?」などという無神経な記事に紙面を割いていて、やはりここでもいかんなくそのダメっぷりが発揮されていた。朝日新聞は全国紙なので、3面欄で1面を使った記事としてとりあげられているだけ。これはしょうがないか。

さて、ブロック紙である北陸中日新聞である。記事の量としては北国新聞よりも少ないが、ジャーナリズム精神がまだ残っていると思わせられる記載があった。引用しよう。

高速道路や自動車専用道の片側1車線部分にある「対面通行区分」の危険性は、以前から指摘されていた。一般道より制限速度が高い一方、中央分離帯がなく、仕切るのは樹脂製のポールや縁石だけ。国土交通省によると、高速道路の対面区間で死亡事故が起きる確率は、4車線以上ある場合の2倍だ。

「のと里山海道」での正面衝突事故は、近年では2014年12月に起きている。石川県羽咋市柳田町で乗用車やトラックなど3台が絡んで1人が意識不明の重体、2人が軽傷を負った。

近隣では東海北陸自動車道の対面区間でしばしば重大事故が起きている。今年4月にも岐阜県高山市内の片側1車線区間で乗用車とライトバンの正面衝突があり、1人が死亡、3人が重軽傷を負った。

会計検査院が昨年公表した全国の高速道路、自動車専用道の片側1車線部分(1700キロ)に関する05~14年事故調査では、中央分離帯のない対面区間での死者は119人、死傷事故は677件に上り、中央分離帯がある場合(死者3人、死傷事故7件)とは大きな開きがあった。

検査院は報告書で「主な事故の発生原因は、ハンドル操作ミスなど人為的」と指摘している。

国土交通省も対面区間の問題は認識しており、今年6月に東海北陸自動車道や岡山米子道など4路線の対面区間で一部車線増の方針を発表した。(加藤裕治、並木智子)

人為的ミスを強調されても、はたしてそれだけなのか

死者119人対3人。
死傷事故677件対7件。

この大きな差はぼくには驚きだった。死者については約40倍、死傷事故の発生件数にいたっては100倍近い。

中央分離帯があるかないかという、構造的分離による動線混在を防ぐだけで、これほどの大きな開きがあるのだ。にもかかわらず、事故の主な原因は、ハンドル操作ミスなどの人為的なものだと評価する検査院。直接の原因はハンドルミスなんだろうけれど、被害をここまで拡大させたのは明らかに中央分離帯のない対面通行区間を高速道路や自動車専用道に指定したことにあると言えるだろう。先進国ではこんな危険極まりない通行区間を高速道路指定するのかどうかぼくにはわからないが、いずれ諸外国の例を機会があれば調べて報告したい。

公共交通機関がずたずたにされていた

ところで、新聞報道でも指摘されていた地元民が危険だとする道路に、マイクロバスをなぜ利用したのか。調べてみたら、のと鉄道は穴水より北は廃止されていたのだ。もし別の交通機関を利用しようとするなら、珠洲から穴水行きのバスに乗って、穴水で電車に乗り換え、さらに七尾で別の電車に乗り換えなければならないことがわかった。これでは事実上、時間がかかりすぎて使えないのだ。公共交通機関を儲からないからと言ってつぶした結果である。赤字じゃしょうがないよという声が聞こえてきそうだが、クルマの社会的費用については、表面に現れないものがいくつもあり、電車など公共交通機関を利用するよりも莫大な額がかかるという試算がある。

実をいうと、ぼくの息子も中学生のとき軟式野球をやっていて、今回の事故現場に金沢方面から進行して穴水で対外試合をやったことがあった。子供たちは何台かのクルマに分散していた。だから、他人事ではないのだ。今回の事故で亡くなられた中学生のご冥福を祈りたい。
 

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知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ

hitininnno
その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にする。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。よろしくです。

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