相談についてボランティアでやっているわけ

このところ、すこしずつだが、相談を受けている。先週と先々週をあわせて1件しかなかった相談が今週は3件あった。均せば週1くらいの割合になるだろう。ようやくそれくらいになったと言える。当事務所がちゃんとした有資格者なら、たぶん1日1件くらいの相談があっても不思議ではないのだろうけれど、無資格者ゆえの悲しさ、それはしかたない。それよりも中身で勝負だと思いたい。エラそうなと思われるかもしれないが、資格のあるなしで、調査の質の軽重が決まるわけでもないという当たり前のことを言っているにすぎない。

相談の内容は後遺障害に関するものから、過失割合、評価損などいろいろある。なかには弁護士をつけているにもかかわらず、弁護士不信からこちらに相談されている方もおられるが、一番多いのは本人訴訟をやりたいとか現にやっている方が、そのため弁護士に相談できず、いわば駆け込み寺のようにぼくのところに相談されてくることである。その率の非常に高いことである。1回ですむこともたまにあるが、本人訴訟のための資料を相談者といっしょになって探し、ぼくがまとめるというパターンが多いから、何度もやりとりをすることになる。中には裁判の出廷期日まで決まっているのもあるから、サボれない(苦笑)。

これは、ある意味調査員時代にやっていたことである。訴訟の準備作業としての調査。調査員時代と違うところは、金銭のやりとりが一切ないから、いわゆる非弁だと後ろ指を差される心配がまったくなくなったことである。ごちゃごちゃ言われない。言わせない。大学の法律相談部がやっている市民相談とおんなじ。いや、ぼくのやっていることは1度でふつう終わらないから、それ以上である。

なぜこのようなボランティアをやるのか。理由はひとつではないが、一番大きな理由のひとつは、現役の感覚を喪失したくないからである。何年も「現場」から離れていると、自信を喪失してしまう不安が大きいからである。もともと大した実績があるわけでないし、自信もあったわけではない。しかし、リアルの世界にかかわっていないと、もともとない自信がさらにいっそうなくなってしまう。リアルの世界に触れることで、最新情報に接する機会が増える可能性が高まることである。そのことが自信につながる。

もちろん、将来的に、もっとアクセス数が増え、相談件数も増えたときに、有料業務に転換するかもしれない。そういう打算がまったくないわけではない。ただ、当初このサイトを立ち上げたときほどの有料業務へのこだわり、執着はもう今の自分にはなくなっていることである。間が開きすぎた。歳をとると執着心というか、いまさらあせってもしかたないと思えてきたのである。前は、営業いつから始めるの・・・とときどき言われたが、今はだれからも言われなくなった(泣)。

それよりも、自由にものが言えるというのは本当にありがたいことだと痛感している。有料にすることでこのありがたみを失うのはどうかなあ・・・というのが今のぼくの偽らざる心境である。

とはいっても、安いとはいえ、事務所の経費がかかっているし、相談事に対応するために書籍を購入したことがこれまで何度もあったし、相談者とともに事故現場を数回訪問し、法律事務所へ同行したこともある。ガソリン代だってかかるわけだ。これらの費用も積み重なっていけば、バカにならんくらいの額になる。出費は確実に生じているのに、収入がまったくのゼロ。昼時にラーメンを1杯おごってもらったことが1度あるからゼロではないのかもしれないが、それだけだ。こんなことをやっているから、ぼくはともかく、ぼくの周りがうるさい。バカだと思われているに違いないし、実際、家族からはそう言われている。他人のそんな思惑はともかく、このことで時間がかなりとられているのも事実であり、自己満足的なことを今後いつまで続けられるかわからない。

平日に1日500くらいの訪問数(セッション数)があることがいまはふつうになってきた。その倍にあたる1日1000にすることが当面の目標である。それくらいの訪問数があれば、全国的にもかなり知られたサイトのひとつといえそうだ。そうなるためには記事をもっと書かないといけないだろう。ネット営業に強い士業の方が言うには、記事数が最低でも300必要とのことだ。ぼくのサイトはまだその半分にも達していない。とにかく書いて書きまくろう。そのときにどれくらいの相談があるのか。そうなったときに、この先どうするかを考えてみるのも遅くはないと思っている。
 

コメント

    • D
    • 2017年 1月 10日

    初めてご相談させて頂きます。
    9月17日に停車中によそ見していた車に、ノーブレーキで追突され、頸椎と腰椎捻挫、肩の打撲と診断を受けました。レントゲンも撮り異常無しと言われましたが、事故後3カ月が経過しても首の症状に変化無く、医師も後3カ月して後遺症認定を請求しようと言われました。12月25日に激しい頭痛にて緊急搬送され椎骨動脈解離疑いの診断を受け入院。解離に至らず退院出来ました。MRIも異常無しでした。医師に因果関係を相談しておりますが、こういった事例を扱った事がないからどうしようかと言われました。血圧等も正常であり既往症も無いので、医師も因果関係ありと考えているが、どうカルテに書いていいか悩まれています。どう対応して頂いたらいいかアドバイスを頂くと幸いです。こちらのサイトで紹介されていた法医学の本を買って読むつもりです。
    長文になり、すみません。

      • ホームズ事務所
      • 2017年 1月 13日

      お返事遅れてすみません。実名だったのでDさんとしました。

      いくつか質問です。

      >解離に至らず
      で、結局は何だったのでしょうか。

      >医師も因果関係ありと考えている
      主治医が因果関係ありと判断した具体的な内容・理由が書かれていません。

      申し訳ありませんが、これだけの情報では答えようがありません。プライバシーのことも考えて、コメント欄よりもメールのほうが宜しいかと思います。問合せ欄からはいってください。どうでしょう。お役に立てるかどうかわかりませんが。

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当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ

hitininnno
その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にし、自己を無責任な立場に置くことになる。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。丸山真男のことばを最後に引用しておきます。

丸山真男から

ゲーテは「行動者は常に非良心的である」といっておりますが、私たちが観照者、テオリア(見る)の立場に立つ限り、この言葉には永遠の真実があると思います。つまり完全にわかっていないものをわかったとして行動するという意味でも、また対立する立場の双方に得点と失点があるのに、決断として一方に与するという意味でも、非良心的です。にもかかわらず私たちが生きていく限りにおいて、日々無数の問題について現に決断を下しているし、また下さざるを得ない。純粋に観照者の立場、純粋にテオリアの立場に立てるものは神だけであります。その意味では神だけが完全に良心的であります。

私たちの社会というものは、私たちの無数の行動の網と申しますか、行動の組合せから成り立っております。社会がこうして私たちの行動関連から成り立つ限りにおいて、私たちは行動あるいは非行動を通じて他人に、つまり社会に責任を負っています。その意味では純粋に「見る」立場、ゲーテの言う意味での完全に良心な立場というものは、完全に無責任な立場ということになります。

したがってこの点でも神だけが、完全に無責任でありうるわけであります。認識することと決断することとの矛盾中に生きることが、私たち神でない人間の宿命であります。私たちが人間らしく生きることは、この宿命を積極的に引き受け、その結果に責任を取ることだと思います。この宿命を自覚する必要は行動関連が異常に複雑になった現代においていよいよ痛切になってきたのです。

世のなかには一方では、認識の過程の無限性に目をふさぎ、理論の仮説性を忘れる独断主義者もいれば、またそもそも認識の意味自体を頭から蔑視する肉体的行動主義者がいます。しかし他方その半面では、物事はそう簡単にはイエスかノーかきめられないのだ、もっとよく研究してからでなければなんともいえないという名目の下に、いつも決断を回避することが学者らしい態度だという考え方がかなり強い。

あるいは対立する政治的争点に対して、あれももっとも、これももっとも、逆にそれを裏返しとして、あれもいけない、これもいけないということで、結局具体的な争点に対して明瞭な方向性を打ち出すことを避ける態度をもって、良識的であるとか、不偏不党であるとか考える評論家やジャーナリストもかなりいるようであります。

たびたびゲーテの言葉を引いて恐縮ですが、ゲーテはこういうことをいっています。「自分は公正であることを約束できるけれども、不偏不党であるということは約束できない。」今申しましたような世上いわゆる良識者は対立者に対してフェアであるということを、どっちつかずということと混同しているのではないでしょうか。
「現代政治の思想と行動」丸山真男 P452-454

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