車両保険は1回使うと3等級ダウンする。2回、3回使うとどうなるか

1日に交通事故3回とは

1日に交通事故に3回も遭う。このような電話相談を以前受けたことがある。こういうときの調査を過去に何度かやったことがあるなあと思い出しながら相談者の話を聞いていた。

最初に自損事故を起こした。なんとか自走できたので、事故現場から離れた後、また自損事故。さらにもう1回自損事故。1日のうちに立て続けに合計3回の自損事故だ。現場はそれぞれ違うのだと言う。調査されるのだけれど、どういうふうに3つの事故を説明したらいいのか、ウソをついてもばれないのかというご相談だった。

おい・おい・おい。そんなこと、ぼくが答えられるかよ。本当のことを言いなさいよ。ありのままに。ぼくはそのように回答した。

それにしても、1日で3回とはあきれた。人が交通事故を起こすことは一生のうちにそう何回もあるわけではない。ぼくは人生長いけれど保険を使うような事故を起こしたのは2回ほどだぞ。それが1日に3回である。正直に言え、飲んでいたんだろう。いや、飲んでいないという。飲んでいたに決まっている。ぼくは相談者の話を聞きながらそう思った。

過去にもそんな事故があったな

実を言うとぼくが調査した中にも、1日3回の自損事故を起こして、車両保険の請求をしてきたのがいた。最初は店舗にぶつけ、家人が出てきたので逃げた。逃げる途中に、縁石に乗りあげてタイヤ回りを小破し、さらに交差点を左折する際にも電柱に車体をこすりつけた。慌てふためきようがよくわかる。酒は飲んでいないというのだが、最終的には、スナックに立寄っていたことを認めた。もちろん、飲酒による免責、すなわち保険金はおりなかった。それにしても、よくもまあ、車両保険の請求をする気になったものだ。公務員のくせに、ばれたら免職か、懲戒処分ものだろう。

その案件を思い出したのだ。しかし、絶対に飲んでいないという。事故直後の警察の現場臨場はあったのかと質問すると、3回目の自損事故のときにパトカーがやってきて事情を聞かれたのだという。そのとき、飲酒検査も受けていないのだという。最初の事故から2時間くらいしか経っていなかったという。そういうことなのね。飲酒調査ではないらしい。でも、本当に飲んでいなかったのか。

事故が1回なのか、それとも・・・

飲酒の前置きはこれくらいにして、本論はここからである。1日に3回も事故を起こすと車両保険はどうなるのだろうか。1回につき3等級ダウンするから、3×3で、9等級さがる。これが原則だ。しかし、3回の事故だったとしても、事故1回にカウントされる場合もありえる。それだったら、3等級しかダウンしない。このことについて詳しく説明すると保険会社ににらまれそうなのでこれ以上は書かない。先ほどの相談者に対する調査というのは、詳しく聞いていると、どうもこの調査のようだった。こちらの調査もぼくは何度かやっている。それで、相談者に対しては、車両保険を請求するのはいいが、3回の事故で等級がどれほどダウンして、保険料がどれくらいアップするのか、よ~く考えた上で、請求してくださいねと、答えておいた。

自動車保険の等級表

そうは答えたものの、実を言うと保険料がどれくらいアップするのか、ぼくもよくは知らなかった。そこで調べてみた。
下記の表は車両保険の等級表である。

自動車保険の等級
事故なし等級 事故あり等級
1等級64%増額
2等級28%増額
3等級12%増額
4等級2%
5等級13%
6等級19%
7等級30%20%
8等級40%21%
9等級43%22%
10等級45%23%
11等級47%25%
12等級48%27%
13等級49%29%
14等級50%31%
15等級51%33%
16等級52%36%
17等級53%38%
18等級54%40%
19等級55%42%
20等級63%44%

「3等級ダウン事故」とは

まず知っておきべきことは、事故で保険を使う場合、原則として3等級さがるといわれているが、それを「3等級ダウン事故」という。ただし、事故の状況などによっては「1等級ダウン事故(または「等級すえおき事故」)」があるし、保険を使っても等級に影響がない「ノーカウント事故」もある。

「3等級ダウン事故」というのは、対人や対物保険金が支払われたときや、車両保険金が支払われたときの事故のことをいう。「1等級ダウン事故」というのは、車両保険が使われた場合であっても、それが盗難だったり、洪水や台風が原因だったり、いたずらや飛び石による窓ガラス破損が原因だったりする場合である。「ノーカウント事故」というのは、人身障害や搭乗者障害保険金のみが支払われた場合とか、弁護士特約のみを使った場合である。したがって、ふつうの事故は「3等級ダウン事故」だと思ってもらってまず間違いない。

車両保険を1回使うとどうなるか

さて、以下の表を見てもらいたい。

(出典:ソーニー損保

1回の事故につき車両保険を使ったケースである。次の契約更新時に等級が3つさがるだけでなく、「事故あり等級」が3年間使われることを示している。20等級なら17等級になるし、「事故あり等級」が3年間使われることになるのだ。

事故が2回とか3回とかだとどうなるか

では、2事故ならどうなるか。「事故なし等級」20級だったものが、14級にダウンしてさらに「事故あり等級」が6年間継続することになる。3事故なら11級になり、「事故あり等級」が9年間だ。そして10年目にようやく「事故なし等級」を使えるようになる。表では割引率で表示されているのでどれくらい保険料があがるのかわからないが、ネットで調べてみたら、割引率がたとえば60%だったのが30%くらいになったとき、保険料は倍くらいになるとか説明してあったので、20等級「事故なし等級」63%だったものが、11級「事故あり等級」25%になるから、保険料は倍くらいじゃきかないだろう。20級だからこのていどですむが、さらに低い等級を起点にしていたら、ものすごく保険料はアップすることだろう。その後、1年経過するごとに等級は1つアップするが、9年間は「事故あり等級」すえおきだから、損害額が小さなものは自腹を切ったほうが得だと言われるゆえんである。

相談者にはそこまで詳しい説明はしなかったが、保険料がどれくらい上がるのかよくよく考えて、車両保険請求をされたしと答えておいた。
 

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突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ

hitininnno
その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にする。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。よろしくです。

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