交差点内停止車両と直進車との事故の判例と過失割合

踏切内で立ち往生したことがある

交差点内で車が立ち往生している光景を何度も見たことがあるし、私自身もそういう失敗をやったことがある。上の画像は、信号のある交差点で青進入したものの、渋滞気味のため先行車両が横断歩道上で停まってしまったため、後続車が交差点中央付近で立ち往生、対向右折車がクラクションを鳴らし、バックさせて右折しているものである。

私の失敗はもっと深刻なものだった。交差点内ではなくて、踏切内でそれをやってしまったのだ。渋滞していたわけではない。今でもありありと覚えているが、先行車が10㌧の大型トラックだった。そのトラックが踏切先の道路(T字路)を右折しようとしたものの、車体が長いため曲がり切れず、車体の一部を踏切内に残したまま停止。と思ったらバックしてきた。右折がダメなら、こんどは左折しようというのである。その後ろにいた私は軌道上で立ち往生するしかなかった。そのうち、踏切の警笛が鳴りだし、遮断機の遮断用のポールも降りてきた。これは本当にやばい。すでに降りていたポールをぶち破って、間一髪で脱出し、電車との衝突を何とか免れたのだった。20代の頃の話である。あのことがあって以来、私は車の運転が嫌いになった。鉄道会社にはポール(プラスチック製)破損を申告したが、電車を停めたこともふくめ、損害賠償などお咎めは一切なかった(汗)。

余談はこれくらいにして、交差点内で車が停止する理由は他にもいろいろある。その結果、交差道路から進入してきた車両と衝突した場合、あるいは右折待機車に対向直進車が衝突した場合、過失割合はどうなるのか。判例タイムズの過失相殺率基準本には載っていない事例である。ネットで検索しても、このことに関する記事はみつからなかった。保険調査ではたまにある事故だし、私自身何度か調査したことがある。

交差点内の停止車両に左右からの直進車が衝突した場合

1⃣大阪地裁 昭和63年5月31日判決
路外から渋滞道路に進入しようと道路に入った所で約12秒停止中、右方交差道路左端を直進してきた原付自転車が衝突した事案で、前方不注視の原付自転車に7割の過失相殺を認めた事例。

被告車が被告会社の敷地から通行車両で混雑していた前記道路に進入して左折し、東行車線を東進しようとして、自車を外側線手前まで進出させ、同所に停止した約12秒後に停止している被告車に原告原付が衝突したものである。

したがって、本件事故の発生については、被害者である原告にも前方注視を怠った過失があるものというべきであり、原告の右過夫を斟酌してその損害額の7割を減額するのが相当である(なお、被告側は、本件事故は専ら原告の過失によって生じたものであって、被告車に過失はなかった旨主張するが、被告車の本件道路への入口から右方の見通しは75㍍で、本件道路への進入時、本件道路の東行車両はその前方の信号待ちのため連続停車しており、その間に進入して左折を完了するまで約12秒かかったことは前記のとおりであるから被告側は、本件道路への入口手前で自車を停止させて東行車両が動き出すのを待ち、右方の安全を確認して速やかに左折を完了すべきであったというべきであり、東行車両がまだ信号待ちのため停止中であるのに本件道路に自車を進入させ、本件道路の左側を塞ぐ状態で約12秒間自車を停止させていたこともまた前記のとおりであるから、過失のあったことは明らかというべきである)。

 

2⃣東京高裁 平成7年6月28日判決
夜間見通しの悪い信号のない交差点で、交差点内で停止していた加害乗用車に交差道路から進入してきた被害二輪車が衝突した事故につき、夜間であっても前方を注視していれば事故を回避できた筈であると、被害者の過失を5割(6割?)と認めた事例。

本件事故当時は、夜間であり、本件交差点に街灯が設置されていたとはいえ、付近はやや明るい程度にすぎず、県道は高速度で走行する車両が多いのであるから、被告としては、市道から優先道路である県道と交差する本件交差点を通過するに際し、交差点進入時に左右の安全を十分に確認するのみならず、県道を走行する車両の進路を妨害しないように、注意しながら進行すべき義務があるにもかかわらず、被告には、これを怠り、交差点に進入する際、被告車の進行方向右側の約60㍍離れた交差点の信号機が赤色を表示し、この時点で右側から進行してくる車両がなかったことに気を許し、左方の安全を確認せず、交差点に進入して中央分離帯を跨ぎ、原告車の進行路を妨害した過失があったことを否定することはできない。被告が、本件交差点に進入時及びその通過中に左右の安全確認を怠らなければ、原告車の通過を待つか、原告車の進路を妨害しないようにさらに進行するかの措置を採り、本件事故を回避することができたことは容易に推認できる。

しかし、他方、スリップ痕の長さに照らせば、原告車はかなり高速度で進行してきたことが推測されること、原告車進行路は、被告車により約1・1㍍塞がれていたとはいえ、その左側は約2・0㍍あいていたのであるから、前方を注視していれば、本件事故を回避するのは容易であったと考えられることなどから、亡原告の前方不注視等の過失は極めて大きいといわなければならない。

右の亡原告と被告の各過失を比較すると、本件事故により亡原告に発生した損害の6割を減ずるのが相当である。

交差点において右折待機車に対向直進車が衝突した場合

1⃣仙台高裁 昭和56年10月12日判決

 

2⃣神戸地裁 平成6年8月26日判決
大型貨物車が対向車線を越えて路外工場構内へ右折進行する際、対向車線を直進進行してきた被害乗用車を見つけ停止するも、衝突した過失相殺事例。当該事故での過失割合として、速度超過でシートベルト不着用のうえ、センターラインを若干越えて走行した被害車に35%の過失相殺を適用した。

まとめ

参考判例を探しているため、工事中

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください