バイクの路側帯走行と過失割合

路側帯を通行できるのはふつうは歩行者です。路側帯には自転車が通行可のものもあるため、自転車もできる場合があります。が、歩行者や自転車だけでなく、実際はバイクが走行していることが多いですよね。が、これは違法行為です。

バイクが路側帯を走行中に事故になった場合、違法行為ゆえに過失割合に影響するかが問題になります。

道路には歩道なども含まれる

道路というと、車道と同じ意味だと理解している人が多い。ふだんの会話ではそのような使われ方が一般的なのでそれはそれでいいでしょう。しかし、交通事故にあったばあいにはちょっと気を付けてほしいのです。ふだんの使われ方と違うからです。

すなわち、道交法では、道路にはふだんの使い方では含まれない歩道なども含めています。以下に、それをわかりやすく図示しました。

道路とは(自研センター資料にもとづく)
自転車歩行者道路上施設
自転車道
歩道
植樹帯
側帯中央帯
路肩
車道停車帯交通島(車道施設)
副帯
屈折車線
変速車線
登坂車線
車線

「路側帯」と「車道外側線の外(左)」

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(横浜交通局HPより)

「道路」は、「歩道」と「車道」(車道外側線で区分されている面)で構成されています。それと「路側帯」です。

わかりづらいのは「路側帯」と、歩道と「車道外側線」に囲まれた部分とです。ふだん、私たちは後者も「路側帯」と呼んでいますが、正確にいえば「路側帯」ではないのです。

歩道に付属しているほうの後者は「車道外側線の外」といいます。「外」という表現もどっちが「内」でどっちが「外」なのか捉え方によってはわかりづらいため、「車道外側線の左」という言い方をする人もいます。ここでは「車道外側線の外」という言い方を使いますが、こちらは「車道」に含まれます。

他方、「路側帯」は歩行者や自転車が通るところなので、「車道」ではありません。歩行者が歩行していいほうが「路側帯」、ダメなのが「車道外側線の外」と覚えてください。

「路側帯」はどこからどこまでか

さらに問題がひとつ。どこまでが路側帯かです。このことが問題になるのはたとえば歩行者が路側帯にある車道外側線上を歩行していたときです。線上だと路側帯を歩いていたことになるのか、それとも車道を歩いていたことになるのか。車に轢かれた場合に過失割合に影響してくるのでたいへん重要なのです。ほかにも、広路・狭路を決める際に重要ですね。

MEMO
「広路・狭路」によって過失割合に影響する。下記記事で詳しく書きました。
広路と狭路の過失割合

下の画像はネットでみつかったものですが、路側帯に車道外側線を含めていません。これは正しいかどうかというと、正しくありません。路側帯には車道外側線も含まれるからです。

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以上のことを図で示しました。赤線が車道、緑線が路側帯です。

車道外側線のどこまでが含まれるのか注意してほしいです。

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道路の計測方法

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ふつうは赤線のような計測をしている人が多いけれど、この計測法だと、1つの計測ミスが全体に及んでしまうためあまり勧められません。青線のように、基準を設定して計測するというのが一番いいです。ただし、警察のように通行止めにして計測できるわけじゃありませんから、そのあたりは無理しないほういいですね。いずれにしろ、後者が理想だということだけでも覚えておいてほしい。

なお、「路側帯」そのものは、

①通常の路側帯(軽車両通行可。車両の駐停車可)
②車両駐停車禁止路側帯
③歩行者専用路側帯

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ヤフー知恵袋より拝借)

に区分されます。

歩道がない場合は、一般的にはその代用としての③の歩行者専用路側帯です。

なお、路側帯の幅には設置基準があるため、歩道がないからそれは路側帯だとは必ずしもならないことに注意してください。

バイクの路側帯走行について

ここまで「路側帯」について詳しく説明しましたのは、「路側帯」は歩行者や自転車が通るところなのですが、そこをバイクが通っている現実がありますよね。そして、そのバイクと車とが事故になる場合が非常に多いのです。たとえば、車左折時のバイク巻き込み事故です。

問題なのは、通行してはいけないはずの「路側帯」をバイクが通行したこと。このことによる違法行為としての評価が過失割合にどう影響するのかです。

こんなことはよくあるにもかかわらず、これに関する書籍もないですし、ネット情報もありません(あったら教えてください)。

「バイクの巻き込み  過失割合」ではいくつかヒットするのですが、そこに路側帯走行を加えるとまったくヒットしなくなる。事故としては決して珍しいものではないのですが、自転車の路側帯走行中の事故も含めると、よくある事故形態なのです。たとえばこういう現場でよく起こります。

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バイク路側帯走行に関する判例

このような事故の場合の過失割合ですが、非常に少ないものの、いくつか裁判例がありました。

東京地裁 昭和61年7月24日判決
右折車線があるため、左側車線が路側帯へ食い込むような状態となっている箇所で路側帯寄りを走行中の原付自転車が幅寄せされた状態で加害小型貨物車に接触され、転倒したところを轢過されて死亡した事案につき、被害原付自転車に10%の過失相殺が適用された事例。

判決文では「路側帯」になっていたのですが、歩道に隣接しているため、「路側帯」でなくて「車道外側線外」ですね。裁判官も間違えている。つまり、これは車道上の事故なのです。

判決文では路側帯だと勘違いしているものの、それでもバイクの路側帯走行につき過失を認定していません。バイク側の過失10%は、右側に車が走行してくることによる注意義務の発生を根拠にしています。

法律上は違法ではあっても、バイクの路側帯走行はごくふつうにみられるので、その事実を重くみた判決です。過失割合に影響を及ぼさないほどに、違法性としては小さいということだと思います。

横浜地裁 昭和47年10月3日判決
路肩とは道路の主要構造部を保護し、または車道の効用を保つために、車道または歩道に接続して路端寄りに設けられている帯状の道路の部分をいい(道路構造法令等)これもまた道路の一部であることは明らかである。さらに、車両制限令9条は車道を通行する自動車は、その車輪が路肩にはみ出してはならない旨規定しているが、右禁止規定からは原動機付自転車は除外されている。そればかりか、車両通行帯の設けられていない道路にあっては、原動機付自転車は道路の左側に寄って通行しなければならず(道交法18条1項)、特に歩道、車道の区別のない道路で交通量が多くそのうえ道路幅があまり広くない道路においては、原動機付自転車が路肩部分に進入して通行することは通常予定されていることである。

こちらの判決では、原付の路肩走行を「通常予定されている」として、そもそも違法とは評価せずに、「路側帯」走行を認めています。

車両制限令

(路肩通行の制限)
第9条 歩道、自転車道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路を通行する自動車は、その車輪が路肩(路肩が明らかでない道路にあつては、路端から車道寄りの0.5メートル(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、0.25メートル)の幅の道路の部分)にはみ出してはならない。

 

【福岡・第714号】
路側帯走行の自動二輪と第一車線から合図を出して左折し、路外駐車場にはいろうとした普通貨物車との衝突事故。自動二輪20対普通貨物車80。自動二輪の路側帯走行については過失認定されていない。

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