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医療過誤訴訟向けのかんたんな覚書、診療ガイドラインは読んでおいたほうがいいよ

「診療ガイドライン」とは?

お医者さんらしいが、下記のような勇気ある発言をされていたので、コメントをいれた。

「診療ガイドライン」とは、医師の治療における指針と言われ、「広範囲な科学論文の検索から、疾患の専門医たちによる厳密な査読をおこない、信頼性と有益性を評価したうえで作成された。論文のエビデンスを根拠とする…」(「腰椎椎間板ヘルニア治療ガイドラインの序文から)。

この「診療ガイドライン」はネットでもただで閲覧できるから、いちど目を通すことをお勧めします。序文ではエビデンスの高いものに立脚していると書いてあるものの、その実、エビデンスの低いものが(驚くほど)かなりあって、いわば仮説に基づき侵襲性の高い治療が行われているという現実を知ることができるはずです。

たとえば先ほどあげた「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン」。例をあげるなら「ヘルニアの大きさは症状の程度に関連するか」。その答えが「椎間板ヘルニアが大きいものほど下肢痛が強くなり、神経症状は重症となる傾向はあるが、統計的に有意とはいえない」。

有意差がないのだから、答えの前半はまったく必要のない記載です。

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

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なお、私が所持しているのは最新版でなく、引用したのは第一版である。

  • 90ページ
  • 出版社南江堂
  • 発売日2021/4/28

治療の実際は?

ヘルニアが大きいぞ、神経にさわって悪さをしているに違いないぞという「仮説」をもとに、ハイリスクな手術がバンバン行われています。が、「標準整形外科学」をみると、「手術の相対的適応例については手術をした場合としない場合とで成績に差がない」。こういう「あれれ」とおもう記載がいくつもあります。

標準整形外科学

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なお、私が参考にしたのは旧版であり、ここにあげた最新版とは違うことをご了承ください。

  • 1056ページ
  • 出版社医学書院
  • 発売日2023/2/6

また、「保存的効果の見極めを短期間で行い、手術を急ぐ恩恵は小さい」などとも書いてある。ところが別のところでは「一定期間以上の保存的治療が奏効しない症例のうちで手術にいたる割合は,比較的軽症で手術希望のない症例の20%程度,強い症状を呈し保存的治療を継続した症例の50%弱と推定される」と記載されている。「比較的軽症で手術希望のない」のまで。患者が望んでもいないのに手術を急がせてしちゃうんだ。医者など信用しないで自分で考えましょう。

ところで、従弟で病院通いのがいました。人間ドックで痛風予備軍だと診断され、症状もないのに、大量の薬を飲んでいた。おれが病院嫌いだと言ったら、コンコンと説教され人間ドックを勧められた。症状もないのに病院に行くって、あんたアホやなあ、と声に出そうかと思いましたが、喧嘩になるのでやめました。現代医学教の信者に言うだけ無駄だからです。

「診療ガイドライン」は「裁判規範」にまでなっている

「診療ガイドライン」は、裁判では事故時の医療水準を示し、医学的判断の根拠として扱われます。そのため、ガイドラインに従わない医療行為をした場合は、従わなかったことの理由を証明する必要が医師側にあります。立証できなければ医師側の過失と認定される。「日本整形外科学会雑誌第89巻」

「標準医療」が書かれている「診療ガイドライン」をみると、エビデンスの低いものがたくさんあって、びっくりさせられる。「標準医療」は確固たる信頼度の高いものだとの誤解があるし、おれもそんなふうにおもっていましたし、「裁判規範」にまでなっている。が、仮説レベルのものもたくさんあります。仮説に基づき侵襲性の高い治療をやっている。

このあたりの知識は医療過誤調査で必要です。おれも何度か医療過誤で医師面談をしていますが、診療ガイドラインで書いてあることの中にはこのようにかなりあやしいものがあり、そこを突破口に面談をすすめていました。

繰り返します。現代医学教信者という権威主義者たちにものを言うだけ無駄です。彼らは、自分のわからないことを権威に委ねる。それはいいとして、やむをえないとしても、たとえば診療ガイドラインはネットでも公開されているのだから、まずは自分で調べてみたらどうかとおもいます。自分の生命にかかわることなんだからね。自分で考えてみる。それが大切かとおもいます。

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