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ぼそぼそとつぶやいてみる
本日は時間もあまりないので雑文です。弁護士さんがこの一文を読まれると怒り心頭に発することになるかもしれません。ならないとは思いたいものの、少し不安です。しかし、私のサイトはなるべくタブーを排することにしているし、ぜひとも話題にしたかったことでもあるので思い切って書いてみます。
これは弁護士がいちばんわかっていることなのですが、ネットではあまり書いてあるのを見た記憶がありません(あまりというか一度もない)。
自賠責で後遺障害が認定された後のこと
どういうことかというと、自賠責で後遺障害等級認定されると、裁判所もそれを尊重することです。裁判所が自賠責の後遺障害認定を覆すことなど例外的なことです。
本来は、裁判所は自賠責の認定に拘束されないのですから、自賠責の後遺障害等級認定とば別の独自な判断をしてもいいはずなのですが、そういうことはほとんどないのが実情のようです。
どれくらいないのか、換言するなら、裁判所が独自に判断する確率がどれくらいあるのかについては、私はよく知りません。弁護士が一番よく知っているはずなのですが、それを言うと商売あがったりになるから言わないだけです。
裁判所も裁判所で独自に判断するのは仕事量を大幅に増やすことを意味するし、独自判断するための医学の勉強もしなければならなくなります。そんなメンドーなことを、仕事をいっぱい抱えている裁判官はふつうやらないし、やりたくもないでしょう。
だから、自賠責の判断を尊重する―――ということになります。一種の手抜きですね。東京地裁のような交通事故の専門部(27部)があるところならまだしも、そうでないところはますますそうです。
したがって、自賠責で後遺障害等級が認定され、その認定結果に不服がないのであれば、弁護士に委任せず被害者が訴状にそれなりのことを書けていれば、本人訴訟でいいのではないかと思います。
弁護士に依頼するのは、後遺障害認定前の立証の段階ですよ。あるいは等級に不服なときなどです。
弁護士不要論
自賠責で後遺障害認定されその結果に満足ならあえて弁護士を委任するまでもないと思います。委任するなら、認定前です。あるいは認定されたもののその結果に不服があるばあいです。
自賠責での後遺障害等級認定が先行しているなら、裁判所はその結果を尊重するのだから、弁護士がどうしても必要だというわけではないということです。弁護士が必要とされるのは、立証を必要とされる局面ではないでしょうか。そここそが、弁護士の腕の見せどころです。後遺障害を得意とするのなら。
極論なのかどうなのか
・・・と、ある後遺障害に詳しい人物から最近言われました(これまでのことは、私が言ったのではありませんよ。念のため)。
その人物の話によると、弁護士が後遺障害の結論がいつごろ出るのかを自賠責調査事務所にしょっちゅう確認してくるのだそうです。理由は、裁判官から後遺障害認定の進捗状況を質問されるため、それに答える必要があるからです。
つまり、裁判所は後遺障害の判断はしたくないということです。裁判所が独自判断するなんて、年に数回あるかどうかだろうということでした。
そのことを裏付けるような内容の記載(判タ38・P11-)もあります。
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そのあとに、
ここまではいわゆるタテマエ部分です。大して意味があるわけではありません。ここで惑わされたらだめですよ。日本語なら「今日は天気がいいですね」とか、中国語なら「你吃饭了吗?(飯食ったか)」ていどの挨拶言葉です。
中国人から食事のお誘いを受けたと勘違いされても大した実害はありませんが、裁判所のいうタテマエ部分を本気にしたら大変なことになります。本音は以下のとおりです。
装飾のためのいろいろな飾り言葉が並びたてられていますが、そういう余分なものをとっぱらうと、要するに言いたいことは、こっちの指示通りにやってくれればちゃんと自賠責通りの後遺障害等級を認めてやる。煩わせるなよということです。
やることは自賠責の後遺障害等級認定を事前にやっておくこと。あとは、自賠責で認められた等級を「訴状においてあらかじめ明らかにするとともに、後遺障害等級認定評を書証として提出」しろということです。
なんだ、これくらいだったら、私でもできそうだ。高い料金を支払ってまでして、弁護士なんかいらないよ。あなただって、そう思いませんか。
自賠責で後遺障害が認定される前のこと。こここそが弁護士の出番である
弁護士不要論を書いたのは後遺障害認定後のことです。認定前こそが弁護士の出番だと私は考えているからです。
ところで、弁護士のサイトを拝見していると、これだけ増額できたという宣伝が目立ちます。これって、症状固定前の依頼が少ないということではありませんか。そのように指摘していた弁護士がいたからです。その弁護士いわく、
弁護士が真に苦労するのは症状固定前の受任から、被害者請求をし、適正な後遺障害等級の獲得するまでです。
つづけて、
後遺障害等級が認定されることが明らかな重度後遺症事案でも適正な等級が認定されるとはかぎらず、細心の注意が必要です。「赤本」や「青本」等の書籍には書かれていない医学面の細部に留意をしなければなりません。等級認定までのプロセスこそ弁護士が深い知識を得る場ということができます。増額事例の多さを誇ることはそうした経験がないことを公言しているに等しいと私は考えています。
蒙を啓いていただきたい
これまで書いたことはどこか極論のような気がしなくもありませんが、いいところを突いているようにも思います。この言説のどこまでが正しくて、どこからが間違っているのでしょうか。
裁判なんて何も知らない私の全部が間違っているのかもしれませんが、本日は時間もないためふだん思っていた疑問をぼそぼそと書きとばしてみました。ひとりごとなので無視されてください。無視できない方がもしおられましたら、どうぞ私の蒙を啓いてください。