最近あった相談
先日の相談のなかに、事故直後症状がなかったので物損で処理したところ、あとから症状が出てきたため病院へ行き、警察で人身に切り替えたら、それが加害者をいたく刺激したらしく、物損にすると言っていたくせに人身にしやがって、うちの保険を使わせないからと相手損保担当者を介して言われ、その担当者から、自分の加入している人身傷害保険を使えと言われて困っている、なんとかならないかと相談された。
被保険者の同意がなくても、被害者の直接請求権は発生する
事故直後に必ず症状が出るとは限らず、事故の翌日とか、2、3日後とかに症状が出るのがむち打ち損傷なので、相手損保の言い分はおかしいと返事した。それに、契約者の承諾がないと示談代行ができないと、決まり文句のように損保・共済は主張するが、損保・共済がかかわっているのは代理人としてではなく、当事者の資格でかかわっているはずなので(注1)(注2)、それもおかしな主張だと返事した。損保は代理人・当事者を自分に都合よく使い分けていないだろうか。
詳しくは別記事で書いたので、そちらを参照ください。
症状が遅れて発生する慢性硬膜下血腫は事故の特定で争いになる
それはそうと、症状が遅れて出てくるのはむち打ち損傷が有名だが、事故から1か月以上経ってから症状が出てくるものもある。慢性硬膜下血腫である。この傷病のやっかいなところは、軽微な頭部打撲が原因でなることが多く、私が担当した慢性硬膜下血腫事案の中には、酒好きの男性で、頭部打撲? いつしたかなあと思案している高齢者の方がいた。けっきょくはいつの事故なのか思い出せなかった。この例でわかるように、慢性硬膜下血腫でいちばんの争点は、事故との因果関係、事故の特定である。
さて、事故が特定できない場合はどうするのだろうか、ふと疑問になったのでネットで調べてみた。こんな込み入ったことをネットで調べても書いているサイトはなかった。たぶん、事故との因果関係が立証できないことを理由に、保険が使えないということになるように思う。
が、調べていて、びっくりするようなことを書いているサイトがみつかった。そこには、慢性硬膜下血腫は、「頭部に強い衝撃を受けたことがきっかけで」なると書いてあった。弁護士のポータルサイトだった。強い衝撃を受けたら、なんらかの症状がすぐに出ると考えるのがふつうである。医学書にだって、ふつうは軽微な頭部外傷でなると書いてあるし、だからこそ、症状があとになって出てくるというのもわかる。調べが足りなさすぎだ。
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