長谷川式簡易スケールとは
長谷川式簡易スケールで30点満点中12点は認知症としては重度だから意思能力なし――と難癖つけてきた弁護士がいた。臨床現場では長谷川式不評なの知らないのかよ。WAIS-R検査と比較して「標準化」されていないという最大の欠点があるからだ。所要時間はたったの20分で、問8なんか配点が5点もあるぞ。実施要項は数百ページにも及び、厳密さが大切だとの指摘がある。

- 456ページ
- 医学書院
- 2024/2/13
なお、長谷川式は、全9問の30点満点で、認知症の重症度別の平均得点はこうなっている。(「図解理学療法検査・測定ガイド」より)
- 非認知症:24.45±3.60点
- 軽度認知症:17.85±4.00点
- 中等度認知症:14.10±2.83点
- やや高度認知症:9.23±4.46点
- 高度認知症 :4.75±2.95点
- 1052ページ
- 文光堂
- 2023/2/11
長谷川式検査の得点が裁判所で意思能力の有無に活用されている
長谷川式知能検査スケールは、認知症の「疑い」があるというスクリーニングテストとしての限界がある。
長谷川式検査の得点が裁判所で意思能力の有無に活用されている現実があるようだ。無知な弁護士と裁判官による暴走である。なお「標準化されていない」とは、テストの実施方法や採点方法について実際の運用のふり幅が大きく、厳密さに欠けるという意味である。だから、検者によって点数がかなり違ってくる。
認知症かどうかは臨床診断がされて初めて可能になる。ここでいう「臨床診断」とは「DSM‐5」による診断である。「DSM-4監修者」であるアレン・フランセスはせん妄などとの鑑別が必要だとし、家族などから多くの情報提供の必要性を強調している。
- 480ページ
- 医学書院
- 2023/9/11
それをやりもしないで、「徘徊」があったなどと診断書に書かれていたが、「徘徊」が事実なら家族や近所に確認すればいい。そもそも歩行が困難なのに。別の調査で、夜間に認知症の奥さんが徘徊するため、夫が寝ずの番をしていたが、近くの用水路で溺死した例があった。近所でも当然評判になる。なにをもって「徘徊」があったと記載されたのかわからないが、それでも診断書に書かれると独り歩きし、有効になるから、ここは反論しないといけない。


- 250ページ
- 金剛出版
- 2014/3/6
おれは医学のドシロウトやけど、それ言うなら相手弁護士もいっしょ。こっちは医学的根拠(権威書から引用)を示しているだけでもましってもんだろ。こんな相手弁護士の主張は無視してもいいくらいなのだが、裁判で出されると無視するわけにもいかない。 テストのスコアを徒に重視しないことが重要なのだが、裁判官もそんな知識がないから、そのまま通ってしまう。まともな医療従事者であれば、そのような判断をしている人は、一人もいない(だろう)に。
意思無能力に関する要件事実
書きかけ つづく
岡口基一
- 296ページ
- ぎょうせい
- 2022/9/26