北陸自動車道小矢部SA内の大型バス死亡事故についてのぼくの暫定的感想

富山県小矢部市のSAエリア内で、走行中の大型バスと駐車中の大型トラックとの衝突事故があった。

images (1)

 

 

現場はぼくも何回か行ったことがある場所だ。いくつかの新聞報道を見たが、事故原因はバス運転者の居眠り運転か、突然の体調不良によるものかとしていた。報道によると、高速道路走行中に2度左のガードレールに接触しており、その後、SAエリア内に突入し、今回の事故になったとしていたから、後者である「突然の体調不良」による意識喪失の可能性が高いように思う。

 

こういう場合、ふつうに疑われるのは心臓疾患か脳血管障害かによる意識喪失だ。一説には、運転者は睡眠時無呼吸症候群だったため、そちらが原因の可能性も疑われているようだ。

 

睡眠時無呼吸症候群が原因ではないかと疑って調査したことが過去に1度ある。そのときのことはきれいさっぱり忘れてしまったので言及できないのが残念だが、今回の事故のように、事前に接触事故が2度繰り返された後の衝突事故の場合、注意してほしいのは意識喪失がいっきに進まないとこういう事故になりにくいことだ。

 

たとえば居眠り運転だった場合、最初の接触事故で眠気などいっきに吹っ飛び、その後の事故の回避措置ができた可能性が高くなる。すなわち、ふつうならブレーキ操作をする時間的余裕があったはずだ。睡眠時無呼吸症候群にしても事情は同じではないだろうか。とすると、時間的余裕が一切ないような、いっきに意識喪失するような体調不良があった可能性が高い。

 

ぼくが扱った事例で、これも高速道路のSAエリア内の事故で、走行していた普通乗用車が駐車していた車に衝突し、その結果、走行車側の運転者が死亡したというのがあった。死亡された運転者の病歴を調べてみたところ、糖尿病にかかっていた。糖尿病による意識障害というのはよく知られたことなので、その可能性はなかったのかを、死亡運転者の糖尿病の主治医に聞きにいき、顧問医に確認したことがある。

 

聞くべきポイントは、意識障害が発生した可能性があったのかどうか、あったとして、いっきに意識障害が進むのかどうかである。この2点の確認だった。

 

糖尿病が原因で急性の意識障害が起きるのは、糖尿病性血管障害である。糖尿病患者では動脈硬化が進み、脳血管障害心筋梗塞になる可能性が高くなるからだ。ただし、糖尿病患者の脳血管障害については、たいていは多発性脳梗塞であり、それだといっきに意識喪失をきたすというのはまれだ。

 

では、心筋梗塞の場合はどうか。これもやはり同じで、急激な胸痛が起こったとしても直ちに脳障害を起こすことはないから、胸に手をやるなどの動作は可能であり、したがって、ブレーキ操作ができないほどに急激に発症することは考えにくい。

 

・・・というものであった。では、糖尿病性昏睡はどうか。忘れちゃったなあ。資料も読まないでいま書いているんで、そこは後で調べてからでも追記しよう。それにしても本日の記事は1時間かからないでできあがってしまった。おい・おい、大丈夫か? いずれ調べた上で追記したい。

 

【追記1】

毎日新聞の記事によると、

バスはトラックとの衝突地点の東約600メートルの本線を走行中、左側ガードレールに衝突。その後、同160メートル付近のSAに通じる道路右側ガードレールにぶつかった。さらに、SAに入った後もスピードを落とさず、駐車場で南北に並行して止まっていたトラックのうち、北側の1台に衝突した後、南側の1台に当たり停止した。

AS20140303004970_commL 

ということなので、ぼくの書いた記事中の「高速道路走行中に2度左のガードレールに接触」は誤りだった。申し訳ありません。

 

同じ毎日新聞で参考になる記事をご紹介しておきたい。

 

(引用開始)

毎日新聞 2014年02月24日 15時00分(最終更新 02月24日 22時03分)

20140224k0000e040211000p_size5
病気で運転できなくなった職業運転手の疾患別割合

 

2012年に発生した、発作や急病など運転中などに起きた病気が原因の人身事故が少なくとも262件あったことが警察庁の調べでわかった。主な病名135件のうち生活習慣病とされる心臓病と脳血管障害の合計が5割強で、栃木県鹿沼市や京都市・祇園で死亡事故が相次いだてんかんを上回っていた。専門家は「てんかんに注目が集まるが、誰もがかかる生活習慣病もリスクが高い。運転時の体調管理で予防すべきだ」と指摘する。

 ◇てんかんを上回る

警察庁によると、12年の交通事故発生件数は66万5138件。262件の内訳は、てんかんに起因する人身事故が63件▽脳血管障害54件▽心臓病18件▽その他127件−−。脳血管障害と心臓病は、肥満や喫煙、高血圧や糖尿病などが引き起こすことで知られる。

また、病気と交通事故の関連を研究している独協医大の一杉正仁(ひとすぎまさひと)准教授によれば、トラックなどの職業運転手が運転中に運転を継続できなくなったケースが04〜06年の3年間に211件あった。

原因は、脳卒中などの脳血管疾患28.4%▽心筋梗塞(こうそく)などの心疾患23.2%▽糖尿病の低血糖などが原因とみられる失神8.5%▽てんかんなどの精神神経疾患4.0%−−など。生活習慣との関わりが濃い脳血管疾患と心疾患を合わせた割合は52%で、警察庁の調べと同様の傾向だった。死亡まで至ったのは76件で、心疾患と脳血管疾患で8割以上に上った。

(引用終了)

 

【追記2】

睡眠時無呼吸症候群についてメルクマニュアル辞典で調べてみましたが、一度眠ってしまうと覚醒しない、すなわち意識喪失の症状の記載は見つかりませんでした。

今回の記事は、ぼくが思い出した事例がたまたま既往として糖尿病があったケースだったため、糖尿病性昏睡など今回の事件と直接関係があるのかどうか分からない方向に話が進んでしまいました。いきがかり上、糖尿病性昏睡でいっきに意識喪失になってしまうのかについても調べてみたところ、やはりいっきにそういう状態にはならないようです。糖尿病による低血糖発作の場合についても同様です。高血糖による糖尿病性昏睡にしろ低血糖による発作にしろ、いずれもブレーキ操作ができないほどの症状が急激には起きない。

ブレーキ操作ができないほどにいっきに意識を失うとすれば、たーじさんご指摘の「クモ膜下出血」か「脳出血」である可能性が高いということになります。この件については別記事で書いてみたいと思います。というのも、たとえば「クモ膜下出血」の場合、その原因が外因によるものと内因によるものがあるからです。外因によるとしたら、事故前に発症したのではなくて、事故によって発症したと考えられます。傷害保険のいわゆる「疾病先行」があったかどうかという争点にかかわることなので、やはり別記事で書いてみたいと思います。

コメント

  1. リョウタx2さん、

    私もこの事件は、睡眠時無呼吸が原因とは思えません。
    これは誰にでもありえることですが、普段健康そのものという人が、くも膜下出血後、即心配停止で即死ということがあります。(実際に身内に起こりました)

    運転手が解剖できる状態なのかどうかわかりませんが、解剖できたのであれば、原因はつかめるかもしれません。

    こういう事件が多くなると、心電図や脳ドックの受診を必須にした方がいいのではないかという気がしています。

      • りゅうた×2
      • 2014年 3月 05日

      たーじさん、コメントありがとうございます。

      今回の記事、あんまり調べもせずに書いたものですから、一部に事実誤認もあったので、追記するか、別記事として書くつもりです。そこでクモ膜下出血についても触れるつもりです。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


事務所所在地・連絡先

ホームズ調査事務所:
石川県加賀市
電話番号:090-1314-0234

電話・メールをされる前に、「お問い合わせ」欄を読んでくださいね。なお、メールについてはお返事に時間を要することもあるし、内容によっては、たとえば記事に書いてあることの再確認とか、あまり深刻とは思えないものについてはお返事しないこともありえます。電話ならその点確実です。

当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ


その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にし、自己を無責任な立場に置くことになる。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。丸山真男のことばを最後に引用しておきます。

丸山真男から

ゲーテは「行動者は常に非良心的である」といっておりますが、私たちが観照者、テオリア(見る)の立場に立つ限り、この言葉には永遠の真実があると思います。つまり完全にわかっていないものをわかったとして行動するという意味でも、また対立する立場の双方に得点と失点があるのに、決断として一方に与するという意味でも、非良心的です。にもかかわらず私たちが生きていく限りにおいて、日々無数の問題について現に決断を下しているし、また下さざるを得ない。純粋に観照者の立場、純粋にテオリアの立場に立てるものは神だけであります。その意味では神だけが完全に良心的であります。

私たちの社会というものは、私たちの無数の行動の網と申しますか、行動の組合せから成り立っております。社会がこうして私たちの行動関連から成り立つ限りにおいて、私たちは行動あるいは非行動を通じて他人に、つまり社会に責任を負っています。その意味では純粋に「見る」立場、ゲーテの言う意味での完全に良心な立場というものは、完全に無責任な立場ということになります。

したがってこの点でも神だけが、完全に無責任でありうるわけであります。認識することと決断することとの矛盾中に生きることが、私たち神でない人間の宿命であります。私たちが人間らしく生きることは、この宿命を積極的に引き受け、その結果に責任を取ることだと思います。この宿命を自覚する必要は行動関連が異常に複雑になった現代においていよいよ痛切になってきたのです。

世のなかには一方では、認識の過程の無限性に目をふさぎ、理論の仮説性を忘れる独断主義者もいれば、またそもそも認識の意味自体を頭から蔑視する肉体的行動主義者がいます。しかし他方その半面では、物事はそう簡単にはイエスかノーかきめられないのだ、もっとよく研究してからでなければなんともいえないという名目の下に、いつも決断を回避することが学者らしい態度だという考え方がかなり強い。

あるいは対立する政治的争点に対して、あれももっとも、これももっとも、逆にそれを裏返しとして、あれもいけない、これもいけないということで、結局具体的な争点に対して明瞭な方向性を打ち出すことを避ける態度をもって、良識的であるとか、不偏不党であるとか考える評論家やジャーナリストもかなりいるようであります。

たびたびゲーテの言葉を引いて恐縮ですが、ゲーテはこういうことをいっています。「自分は公正であることを約束できるけれども、不偏不党であるということは約束できない。」今申しましたような世上いわゆる良識者は対立者に対してフェアであるということを、どっちつかずということと混同しているのではないでしょうか。
「現代政治の思想と行動」丸山真男 P452-454

【当サイトご利用上の注意】

当サイト内の情報を利用したことにより何らかの損害が発生しても、一切責任を負いません。自己責任でお願いいたします。また、記事を書いた後に、法律が変わったりするなど、現状を反映していないことがあります。その後の改正等についてはフォローしていくつもりですが、ご注意ください。

著作権にかかわることですが、当サイトの記事をコピーされる方が後を絶たない。公開した記事なので、コピーしていただくのはまったくかまわない。ただし、判例文のコピーによる引用は別にして、それ以外の文章の引用については、引用元を示したうえで、どこからどこまで引用したかも明示してください。

なお、当サイトは中国語でも対応可能である。電話でもいいし、メッセージでもよろしい。

本现场可以用汉语对应、如过在日本有遇到交通事故的无论是中国人还是台湾人、请随时商量、商量的时候、请在网上「留言」。

おすすめ記事

アーカイブ

カテゴリー

Count per Day

  • 116現在の記事:
  • 838207総閲覧数:
  • 159今日の閲覧数:
  • 1521昨日の閲覧数:
  • 10889先週の閲覧数:
  • 31402月別閲覧数:
  • 575957総訪問者数:
  • 105今日の訪問者数:
  • 1013昨日の訪問者数:
  • 7109先週の訪問者数:
  • 20328月別訪問者数:
  • 1,001一日あたりの訪問者数:
  • 2現在オンライン中の人数:
  • 2016年5月2日カウント開始日:

ピックアップ記事

2016.6.13

調査会社の調査の正確性・信頼性について

ある弁護士さんのぞっとした話 ある弁護士さんのサイトを拝見していたら、こんなことが書かれていました。 最近、相次いで、損害保険リサー…

ページ上部へ戻る