骨挫傷は後遺障害に該当するのか

MRI検査が普及した結果

MRIの画像精度があがったことにより、昔はレントゲンではとらえられなかった微細な変化でも捉えることが可能になった。そのため、「骨挫傷」なる傷病名が診断書に記載されることも少なくない。

骨挫傷は後遺障害に該当するのかという質問が電話であったので、無理だよとお答えした。自賠責事務所による後遺障害非認定文を参考までに載せる。

自賠責事務所の「非認定文」

骨挫傷は一般的に時間の経過とともに軽快するものと捉えられることから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉えられない

定型文である。

下の引用記事でも解説されているように、骨挫傷はそのうち治るもので、後遺障害だと考えられていないからである。神経系統の症状があっても、骨挫傷は他覚的所見じゃないからと一蹴される。後遺障害に該当するほどの関節の機能障害があっても、その原因が骨挫傷ならこれも非該当になるのが自賠責実務である。以下に引用する。

骨挫傷は交通事故診療では禁忌ワード!

濱口裕之(メディカルコンサルティング代表医師)

写真1 左膝関節の正面像
単純X線像では、大腿骨内顆に広範な骨挫傷を認めます。

 普段から何気なく使っている骨挫傷。ありふれた傷病名ですが、交通事故診療で禁忌ワードとなるのはご存じでしょうか? 禁忌なんて大げさだと思われるかもしれません。しかし後遺障害診断書に骨挫傷という傷病名をつけようものなら、患者さんが泣いてしまいます!

 自賠責保険では、「骨挫傷は後遺障害を残さない」と見なしています。そのため、後遺障害診断書に「骨挫傷」という傷病名をつけてしまうと、疼痛が残っていても後遺障害等級が認定されないのです。

 骨挫傷は、外部からの衝撃が原因で骨内部が損傷しているものの、骨皮質が破綻せず内部の骨梁の微細骨折にとどまっている病態です。病理的には骨髄浮腫や出血で、骨梁の微細骨折も観察されます。骨皮質が破綻していないので単純X線像ではとらえられず、MRIでBML(bone marrow lesion)として描出されます(写真1)。

裁判所も右にならえだから立証は丁寧に

このようなしだいなので、診断書に「骨挫傷」と書いていると、ほぼほぼ後遺障害非認定になる。裁判では認定例もあるから、不服であれば裁判するしかない。ただし、裁判所も自賠責実務に右にならえという傾向が非常に強い。裁判官も医療について知らないから、自賠責がこう言っているからとなるのである。そこは注意してほしい。

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