本日、非骨傷性頚髄損傷の後遺障害相談がありました。

これで、標記の相談は二つ目です。中心性脊髄損傷などのいわゆる非骨傷性頚髄損傷についてですが、脊髄損傷事案の50~60%と多く、上肢のしびれのみという軽微な不全損傷から完全損傷まであって、その幅も広くかつ奥行きも深い。

自賠責後遺障害実務では「脊髄損傷」は等級が高いのですが、この非骨傷性頚髄損傷については、極めて不当な扱いをしているのが現状ではないでしょうか。

後遺障害として認められたとしても、局部の神経症状としての12級か14級の低評価どまり。以下の「不当な原因」もあることから、非該当もたくさんあります。

これまでこの傷病名を担当して思ったことですが、不当な扱いの原因になっているのは、

①非骨傷性であるため、他覚的所見に乏しいこと。

 

②軽微事故で発症することも多く、事故との因果関係で否定されることがあること。

 

③既往がある方の場合、たとえば頚椎症とか頚椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症など、そちらの傷病にひっぱられて、非骨傷性頚髄損傷と事故との因果関係を否定される傾向にあること。

 

あるいは「うつ病」などの精神疾患があると、気のせいにされてしまうことがあること。

 

④たとえば中心性脊髄損傷の典型的画像はこちらですが、その典型的画像と実際の損傷部位とが一致しないことが多いこと。

 

⑤脊髄損傷は事故直後に痺れの症状が発生し、2、3日後に発症することはありえないという理由による脊髄損傷の否定。

ところが、非骨傷性頚髄損傷については医学の世界でもよくわかっていないことが多く、そのため、「その損傷部位によらず脊髄損傷で上肢優位の症状を示す症候群を「中心性症候群」と称している」(「脊椎脊髄ジャーナル」2008・5 P583)という医学界の現実があります。

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