問合せが多くなった
このところ記事出しが遅れ気味で、予定通り消化しきれていません。当事務所は2人でやっているものの、サイトの更新は私がほとんど一手に引き受けてやっております。問合せもふくめ相談ごとについても同様です。
以前は、問合せがまったくありませんでした。それで愚痴ったこともあります。ところが、アクセス数が伸びてくるとともに、問合せがあるようになりました。1週に1回くらい問合せがあるようになったのです。ところがそれがさらにふえて、ここ3日で8件です。現状で、これくらい増えるとは予想していなかったし、私ひとりのキャパシティではすぐには全部に対応できなくなりました。記事出しが遅れているのもそのような理由からです。
でも、誠意の見られる問合せについては、私もできるだけ誠意ある対応をしなければいけないとは思いつつ、そのための時間がとれないためなかなか返事ができず、一度返事しただけでそのままになってしまっている例もあります。最近いただいた8件についてもそのままほったらかしになっているものもございます。申し訳ありません。
とりあえず、緊急性を要するもの以外は、答えやすいものから、順次お返事をさしあげたいと思っています。今後もこの傾向がつづくようでしたら、相談案件の取捨選択を実施するようになるかもしれません。
Kさんへの補充回答
今回は、鍼灸あんまマッサージ師のKさんからの問合せの件についてです。私が記事でとりあげた「自動車損害賠償責任保険損害査定要綱」について一般に入手(閲覧)できるかどうかというものでした。
「自動車損害賠償責任保険損害査定要綱」?
そんなこと記事に書いたかなあ。検索で調べてみると、ありました。「自賠責では、柔道整復・鍼灸はどこまで認められるのか」という記事の中で、
正規の免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、鍼師、灸師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費を認めている。通常、その必要性を認める医師の証明が必要だ。慰謝料については、自動車損害賠償責任保険損害査定要綱をみると、「対象日数は、通常、総治療期間の範囲内で実治療日数の2倍程度である。ただし、あんま、はり、きゅう、マッサージ等については実施術日数」となっている。
・・・と書いていました。これはどの資料を使って書いたのか調べてみました。以下がKさんへの「訂正」という表題の返信です。
自動車損害賠償責任保険損害査定要綱自体に載っていたわけでなくて、先ほどご紹介した本(「新示談交渉の技術」のこと)の、当該要綱に対する「解説」部分に載っていた記載です。したがって要綱自体にそのような記載があるわけではありません(これが訂正のひとつ)。
さらにもうひとつ。
「要綱」自体は平成14年4月以前まで適用され、それ以降は「支払基準」というふうに表題が変わっており、そちらが適用されます。表題は変わっておりますが、中身自体はあまり変わっていないため、以前の表現である「要綱」をそのまま使っている人もいますし、正確に「支払基準」に変更して使っている人もいます。
いずれにしろ、「支払基準」が(現状)正確なので、これも訂正します。
一般に入手可能かどうかについては、「新示談交渉の技術」にそれが載っているのは事実なので入手可能ですが、一部が公開されているだけかもしれません。
なお、私が参考にしたのは「新示談交渉の技術」第5版(平成13年度発行)でした。支払基準とすべきところを要綱としてしまったのはそれが原因でした。不正確な表現で申し訳ありませんでした。
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「要綱」から「支払基準」変更へのいきさつ
どういういきさつでそのように変更されたのか、そのいきさつについて調べてみました。
[amazonjs asin=”4535516286″ locale=”JP” title=”概説交通事故賠償法 第3版”]自賠責保険は強制保険であり、社会保障的性格を有するから、損害額の算定は公平に行われなければならない。また、膨大な事案を対象とするため、その処理は定型的・画一的にならざるを得ない。そこで、平成14年改正までは、国土交通省が支払基準を通達で定め、これを損害保険会社が自賠責保険損害査定要綱という形で反映していた。この要綱は、保険会社を拘束するが、被害者に対しては拘束力を有しないし、被保険者を拘束することもできないとされていた。したがって、保険会社の査定を不服とする被害者や被保険者は訴訟を提起し、保険金額の範囲内であれば、査定基準を超えた金額を請求することが可能であった。
政府再保険制度の下では、国が再保険金等の支払の段階において支払基準への整合性をチェックできたが、平成14年改正により、そのような担保手段が失われたために、国土交通大臣および内閣総理大臣が定める支払基準に従った保険金等の支払の遵守を保険会社に義務づけると共に、国土交通省大臣および内閣総理大臣は、公平かつ迅速な支払の確保の必要性を勘案してこれを定めなければならないとした(自賠法16条の3)。この支払基準は告示に示されている(「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」)(P406)。
要は、以前は「通達」だったものが、平成14年の改正で「法律」に格上げされたことによる、「要綱」から「支払基準」への変更ということです。内容的にはほとんど変わらないときいております。
まとめ
いずれにしろ、古い資料をもとに、その後の改正を踏まえないまま記事にしたことが原因です。初歩的なミスでした。当該記事を見て誤解された方に対して、たいへん申し訳ありませんでした。該当する記事の内容自体はまちがっておりませんが、記事中の「要綱」は「支払基準」に変更します。それともうひとつ、「要綱」に書いてあるのではなくて、「新示談交渉の技術」の巻末資料の「解説」にかいてあります。Kさんの問合せがなかったら気づかずじまいでした。ありがとうございます。