弁護士を紹介するいわゆる「ポータルサイト」について

地元の弁護士事務所にこんなことが・・・

ネットで検索していたら、面白いことが書いてあった。地元のある法律事務所の記事である。その書き出しのところだけ、まずは紹介しよう。

「交通事故 弁護士」という言葉で検索してみたら、弁護士が数多く登録されているホームページが出てきます。こういうホームページで、弁護士を探してもいいでしょうか?

 
という「問い」に対して、

弁護士が数多く登録されているホームページから弁護士を探すのは、絶対にやめましょう。弁護士が数多く登録されているホームページのことを、一般には「ポータルサイト」「弁護士比較サイト」などと呼んでいるようです。

 
と回答されていた。

やめといたほうがいい理由

そこに書いてあったやめといたほうがいい理由だが、運営主体が弁護士でないこと。交通事故についてまったく知らない素人が運営しているため、そこで推薦されている弁護士が交通事故に強いかどうかの判断が運営主体にできないことだった。こういうサイトは、弁護士が代表をしている会社が主体になっているものとばかり思っていたが、必ずしもそうではないらしい。さらに驚いたことは、月額5万円~10万円もの登録料を支払っていることである。おカネを払えば、弁護士ならだれでも推薦されるらしい。

ネット上には、「弁護士比較サイト」がたしかに多く林立している。当サイトと同じくらいのアクセス数のものもあれば、当サイトの数倍、あるいはもっと多く10倍くらいの巨大なサイトも存在する。サイトの仕様は似たりよったり、そこで書かれている内容もいかにも教科書的で、よくいえば無難、悪く言えば特徴がない記事が多い。経験に基づく記事がほとんどなく、したがって、紹介されている個々の弁護士がどういう人物なのかがまったく見えてこない。パクリ記事も多いようにも思った。当サイトの記事も、表現は若干変えてあるが、見事にパクられていた。引用する・・・くらい書いてくださいね。

弁護士事情についてはぼくはうといが、地元についてならちょっとだけわかる。試しに地元でどういう弁護士が「交通事故に強い」と評価されているのか調べてみたことがあるが、へぇ、この先生が、と驚いたことがある。

当サイトにも、紹介料を稼いだらという提案をいただいたことがある

それにしても月額5万~10万円も支払っているとはすごい。1件5万円としても10の登録があれば50万円だ。100あると月に500万円だ。ぼくの年収を半月かからずにかんたんに稼いでしまう。うらやましいかぎりだ。ぼくもやってみようかなあ。でも、こんなことでお縄になるのはいやだわ。

ところで、あんなに多くの弁護士が登録していると、アクセス数が多くても一事務所への仕事の配分は登録数に応じて低くなるから、その効用がどれだけあるのだろうかとも思った。それに、弁護士の紹介を有料で弁護士でもない者がしたら法律違反にならないのだろうかとも思った。

かつてぼくのところにも弁護士事務所にリンクさせて、その紹介料をいただいたらと提案してきた人がいた。そんなことができるのか。いやできるというのだが、やはり問題がありそうだと考えたので、その提案はお断りした。問題は3つ。法律違反になりそうだったことがひとつ。おカネをいただいて交通事故に強いかどうかわからない弁護士を紹介はできないという倫理の問題がもうひとつ。そもそもぼくのサイトにリンクを張らせてやっから、その代わりにリンク料をよこせなんて、そんな失礼な提案を弁護士に言えるかと思ったし、それ以前に、ぼくのような無資格者はそもそも相手にされないだろうとも思った。これが最後のひとつである。

当サイトの弁護士リンクについて

当サイトでも弁護士の何人かの方にリンクを張らせていただいている。こちらが勝手にリンクをはって、その後、当の弁護士の承諾をいただいたものがほとんどである。もちろんおカネの関係は一切ない。承諾を得るようにしたのには理由があって、相談者の中に、あの弁護士とリンクしているのだから、当サイトは信頼できると勘違いされて相談されてきた方がおひとりおられたからである。その方には、相互リンクでなくて、こちらが勝手にリンクしているだけだと返事した。他人の褌で相撲をとっていたわけである。そのことがあってからは、事後承諾でもいいから得ることにした。

あ、そうだ。いちばん最後にリンクをはらせていただいた山中理司弁護士からはまだ承諾を得ていなかった。拒絶されるかもしれないけれど、いずれ恐る恐るその可否を確認してみないと。

当サイトにだってあるリンクによる効用

ところで、当サイトに相談されてきた方の中に、当サイトのリンク先を目安にして弁護士委任をされた方がおふたりおられた。いちいち確認していないので、実数はもう少し多いかもしれない。また、現在委任している弁護士で大丈夫なのかという相談がときどきあったりするし、弁護士を推薦してほしいという相談もいただいたことがある。前者の相談については答えづらいが、不審に思ったのならやめといたほうがいいだろうと一般論で答えることにしているし、後者の相談については、当サイトのリンク先の弁護士ならその候補のひとりにしてもいいかもしれないとお答えしたことがある。

いずれの先生方もサイトの記事を通じて「教えられることが多かった」からである。いずれも実力者ぞろいで、中には全国的に知られた先生もいらっしゃる。ぼくのリンク先選定の基準はかなり厳しいのである。直接お会いした先生はおひとりもいないので、人格者かどうかの保証はできないものの、ぼくのような無資格者でかつ匿名サイトにたいして(あと、記事内容が「過激」「ラジカル」という評もつけくわえておこう。ぼくじしんは、「過激」とはちっともおもっておらず、当たり前のことを書いているだけだと思っている)、信用をことのほか重んじる弁護士がリンクをはることを承諾してくれた先生方たちだから、太っ腹で、たぶん良心的な方たちなのではないかと思う。この場を借りて感謝。もちろん、経験・知識とか、熱心さとかから、当サイトのリンク先の先生方は十分信頼していいのではないかとぼくは思っている。
 

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当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ


その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にし、自己を無責任な立場に置くことになる。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。丸山真男のことばを最後に引用しておきます。

丸山真男から

ゲーテは「行動者は常に非良心的である」といっておりますが、私たちが観照者、テオリア(見る)の立場に立つ限り、この言葉には永遠の真実があると思います。つまり完全にわかっていないものをわかったとして行動するという意味でも、また対立する立場の双方に得点と失点があるのに、決断として一方に与するという意味でも、非良心的です。にもかかわらず私たちが生きていく限りにおいて、日々無数の問題について現に決断を下しているし、また下さざるを得ない。純粋に観照者の立場、純粋にテオリアの立場に立てるものは神だけであります。その意味では神だけが完全に良心的であります。

私たちの社会というものは、私たちの無数の行動の網と申しますか、行動の組合せから成り立っております。社会がこうして私たちの行動関連から成り立つ限りにおいて、私たちは行動あるいは非行動を通じて他人に、つまり社会に責任を負っています。その意味では純粋に「見る」立場、ゲーテの言う意味での完全に良心な立場というものは、完全に無責任な立場ということになります。

したがってこの点でも神だけが、完全に無責任でありうるわけであります。認識することと決断することとの矛盾中に生きることが、私たち神でない人間の宿命であります。私たちが人間らしく生きることは、この宿命を積極的に引き受け、その結果に責任を取ることだと思います。この宿命を自覚する必要は行動関連が異常に複雑になった現代においていよいよ痛切になってきたのです。

世のなかには一方では、認識の過程の無限性に目をふさぎ、理論の仮説性を忘れる独断主義者もいれば、またそもそも認識の意味自体を頭から蔑視する肉体的行動主義者がいます。しかし他方その半面では、物事はそう簡単にはイエスかノーかきめられないのだ、もっとよく研究してからでなければなんともいえないという名目の下に、いつも決断を回避することが学者らしい態度だという考え方がかなり強い。

あるいは対立する政治的争点に対して、あれももっとも、これももっとも、逆にそれを裏返しとして、あれもいけない、これもいけないということで、結局具体的な争点に対して明瞭な方向性を打ち出すことを避ける態度をもって、良識的であるとか、不偏不党であるとか考える評論家やジャーナリストもかなりいるようであります。

たびたびゲーテの言葉を引いて恐縮ですが、ゲーテはこういうことをいっています。「自分は公正であることを約束できるけれども、不偏不党であるということは約束できない。」今申しましたような世上いわゆる良識者は対立者に対してフェアであるということを、どっちつかずということと混同しているのではないでしょうか。
「現代政治の思想と行動」丸山真男 P452-454

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