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和解すると、口外禁止条項と清算条項がついてくるので注意されたし。

損保と示談したいという人がときどきいる。示談というのは和解の一種であり、和解には「裁判上の和解」と「裁判外の和解」がある。示談は「裁判外の和解」である。示談には「裁判上の和解」のような確定効がないため、後になって異なる事実が判明した場合、争うことができる。また、債務名義はなく、これだけでは強制執行もできない。

和解書の文言を見た方はおられるだろうか。注意したいのは口外禁止条項と清算条項がある場合である。以下のツイートをみてほしい。

これは交通事故でなくて労働事件で会社側弁護士と交わした和解について書いたものだが、その時の和解書の文言の注意点について書いたものだ。最初は口外禁止条項について。次が清算条項についてである。

どういう文言かというと、

甲と乙は、本件合意の内容及び本件合意に至るまでの経過について、第三者に口外しないことを相互に約束する。

甲と乙は、甲と乙との間には、本件に関し本件合意に定めたもののほか、何らの債権債務が存在しないことを相互に確認する

前段の口外禁止条項は「経過」まで含めているので、これでは境界がはっきりしない。合意内容(結果)だけにするべきだ。後段の、債権債務関係が存在しないといういわゆる清算条項も問題だ。それが「一切」の完全清算型なのか、「本件に関する」だけなのかを、日本語として読解しようとした労組関係者がいた。あれは法律の定型文だ。日本語ではなく外国語だと思わないと大失敗する。この例は、「本件に関し」と限定している。問題なのはその限定がない場合である。

たとえば賃金の請求権「だけ」の和解なのか、賃金を含め一切合切の全部の請求なのかということである。これ、労組関係者と書いたけど一人じゃないんですよ。労働組合の人って労働問題の専門家だとみられているのに、これだ。いや、実をいうと、弁護士にもこの区別ができないのが一人いた。弁護士廃業したほうがいいよ。と、法律相談時に口から出かけたが、無料相談だったのでやめた。ばかばかしいというか、なさけない。

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  • 504ページ
  • 日本評論社
  • 発売日2019/8/22

本人訴訟をやるのだったら、訴状や準備書面を自分で書かないといけない。ほかに和解するなら、その文言の意味がわからないとダメだ。この本はそのための必須アイテムだ。

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