タクシーの休車損害

タクシーの休車損に関するメモを記録として残しておきたい。タクシー休車損についてこのメモ通りにすれば一般的な算定が可能かと思います。

注意してほしいのは、タクシーについてはたとえ遊休車は存在しなかったとしても、無線により他車の配車が容易な場合もあり、80%の売上はカバーできると判断した(高松高裁平成9年4月22日判決)があるなど、全社的なタクシーの運行状況の把握が必要であり、タクシーに特有な事情の理解が必要です。

事故前の輸送荒利

①対象車両の輸送収入、営業日数、実働日数を把握する。

ア)運行記録簿あるいは運行月報。

②全車両の輸送収入、実働率等を把握する。

ア)一般乗用旅客自動車運送事業輸送実績報告書(運輸局の受付印あり)
イ)旅客自動車運送事業報告書のうち
ⅰ:表紙(運輸局の受付印あり)
ⅱ:営業概括報告書
ⅲ:旅客自動車運送事業輸送実績
ⅳ:財務諸表のうちの損益計算書
ⅴ:一般旅客自動車運送事業営業費明細表
ⅵ:人件費明細報告書
ウ)確定申告書(税務署印あり)

③対象車の輸送原価を把握する。経費の内訳を調べる。

以下は目安。
ア)変動経費
ⅰ:燃料費
ⅱ:タイヤ消耗費
ⅲ:修繕費
ⅳ:オイル代
ⅴ:高速代、駐車料金
ⅵ:事故賠償費

イ)固定費
ⅰ:減価償却費
ⅱ:自動車税
ⅲ:自動車重量税
ⅳ:車検手数料
ⅴ:自動車割賦購入利息
ⅵ:自動車保険料
ⅶ:車庫料

ウ)注意書き
人件費については、変動費なのか固定費なのか、あるいはどの部分が固定費でどの部分から変動費になるのか検討を要する。

④全車両の輸送原価の把握をする。

Ⅰ②の(イ)(ウ)の資料で把握する。

事故後の輸送状況

①車両の権利関係

Ⅰ②(ア)の資料で算定する。
Ⅰ②(イ)の資料で算定する。
Ⅰ②(ウ)の資料で算定する。

②実働率

Ⅰ①(ア)(イ)の資料で算定する。あるいは旅客自動車運送事業輸送実績書。

③修理期間中の全車両の運行状況等

修理期間中の月別輸送実績報告書や運転月報で確認する

タクシーの休車損に関する裁判例

大阪地裁昭和60年12月17日判決
原告は、一般管理費などを運賃収入から控除しないと間接損害を認めた結果となる旨主張するが、タクシー営業車の休車損害は、まさに、タクシー会社を直接の被害者であることを認めたうえでの損害算定費目なのであつて、いわゆる間接損害の法理は、ここにおいては、直接の適用がないものであるから、原告の右主張は採用しない。

大阪地裁昭和61年3月27日判決
(証拠略)によれば、被害車は本件事故のため修理するまで使用不能となったこと、原告会社は被害車を使用して1日平均3万6,000円の水揚げがあったこと、原告会社では利益率が24%であったこと、被害車の如く、車両に改造を加えて営業車とし、かつ、営業車として使用するための陸運局の許可を得るため、新車の購入発注から納車まで少なくとも30日間は必要とすること、原告会社では事故から1か月後に新車が納品されたため、これを被害車に代えて使用していることが認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。右によれば、本件事故のため修理するまで使用不能となり、事故の日から1か月後に納品された新車を被害車に代えて使用していたものの、1か月間はこれを営業に使用することができなかったことにより原告会社は1日8,640円の割合による合計25万9,200円の損害を被ったことが認められる。

仙台地裁平成4年2月4日判決
タクシーの休車損害算定につき、遊休車・予備車の有無を検討した。

 

すなわち、原告は本件事故当時、原告タクシーを含めて38台の小型タクシーを保有していたこと、昭和63年4月9日から同月12日までの間、破損した本件原告タクシーを除く37台が実働していたこと、同年4月8日および同月13日の実働車数は38台であったことが認められ、これらの事実からすると、原告には、原告タクシーの修理期間中、右タクシーに代って運行に供し、営業収益を挙げうる遊休車というべき小型タクシーは存在しなかったというべきである。

 

なお、タクシーは曜日・季節・天気などにより収益が異なることから、修理期間中の同社1台当たり収益額から、燃料費等と歩合給部分の人件費を控除して5日分11万1991円が認められた事例。

東京地裁平成10年11月25日判決
タクシー会社であるから代替車両が存在するのが通常であるのに、休車損の発生について主張立証もないとして、休車損を否定した。

神戸地裁平成15年1月22日判決
タクシー会社は事故当時、35台の車両に対して1か月ごとに乗務員78名の常務予定を稼働可能な全車両に予め割り当てており、車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のために稼働させることができない車両を除くすべての車両を常時稼働させていたことが認められることから、被害車両の稼働を他の車両の運行によって補うことができたとはいえないとして、運賃収入から燃料費・修理代・乗務員人件費等の諸経費を引いた額について、4.5日分の休車損を認めた。

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