センターオーバー事故で対向車にも過失ありとした判例

センターオーバー事故では対向車は過失ゼロが基本だが、そうでない場合もある

交通事故の基本の過失割合が100対ゼロのものがいくつかある。信号無視、追突事故、そしてセンターオーバー事故がそうである。しかし、たとえセンターオーバー事故であってもセンターオーバーされた側(対向車)にも過失ありとして、100対ゼロにならなかったケースが存在する。最近の例で言うと、福井県で発生した通称もらい事故判決がそうだった。新聞でも報道されたし、ネットでは大騒ぎになっていたのでご存知の方もおられると思うが、当時のマスコミ報道はこうだった。なお、判決文はこちら(福井地裁 平成27年4月13日判決)
 

対向車同士の事故の基本的な考え方

車両は、道路の左側部分(道路中央または中央線からの左の部分)を通行しなければならないし(道交法17条4項、以下道交法を法と表記)、また、原則として道路の左側に寄って通行しなければならない(法18条1項)。左側部分通行の車両とセンターオーバーした対向車両とが接触した場合には、原則としてセンターオーバーした車両の一方的過失によるものと考えられる。

ただ、中央線の表示された道路または幅員の十分に広い道路におけるとそれと、車両が行き違いできるが(したがって法17条5項2号の場合には当たらない)、余り幅員が広くなく中央線の表示もない道路におけるそれとでは、規範の明確性に差異があり、後者の場合は左側部分通行の車両といえども、対向車の道路に対する相当の注意が要求されてしかるべきであろう。

また、一方通行路や道路左側部分の幅員が車両の通行のため十分でないとき、道路の損壊・道路工事等の障害のため道路左側部分の通行ができないとき、左側部分の幅員が6m未満の道路において他車を追い越すとき、勾配の急な道路の曲がり角付近について道路標識等により通行法が指定されているとき等、道路中央から右の部分にはみ出して通行することができる場合(法17条5項各号)は本基準の対象外である。これらの場合は、双方の速度や道路状況等の具体的事情に基づき、個別的に過失相殺率を考慮すべき場合が多いであろう。(P283)


福井の通称もらい事故について

福井新聞ONLINE 4月17日(金)17時5分配信
「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない

車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

死亡した男性は自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていた。車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だった。対向車側は一方的に衝突された事故で、責任はないと主張していた。

自賠法は、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めているが、責任がない場合を「注意を怠らなかったこと、第三者の故意、過失、自動車の欠陥があったことを証明したとき」と規定。判決では、対向車側が無過失と証明できなかったことから賠償責任を認めた。

判決によると事故は2012年4月、あわら市の国道8号で発生。死亡した男性が所有する車を運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突した。

判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。

 
新聞記事では、「遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めて」ということだった。本当にと言ったら大変失礼だが、実際に「初めて」なのかどうか、似たような事例がないのかどうか、センターオーバー事故であるにもかかわらず対向車側、すなわちセンターオーバーされた側に過失を認定した判例を集めてみた。

センターオーバーされた側にも過失が問われる場合

第Ⅰの例

その典型的な第1の例は、カーブでの対向車同士の事故である。カーブのため、お互いの見通しが利かないことが多いこと、センター寄りに走行してくる車がいるのではという予測が可能なことから、センターオーバーされた側にも過失が問われやすい。

第Ⅱの例

第2の典型例は、狭い車道上のセンター付近の衝突事故である。狭路だし、衝突地点がセンター付近ということになると、原則どおりにどちらか一方の過失というわけにいきづらい。そのため、双方に過失が認定されやすいことはよく知られている。

第Ⅲの例

第3の典型例としては、道幅のある直線路上であっても、駐車車両があったり、道路工事中だったりしたために、そのような障害物を避けるためにセンターオーバーした車と対向車との衝突事故があげられる。駐車車両の存在のためや、道路工事中のためやで、通行可能な車道幅に制限があるため、センターラインを越えるのではないかと事前に予想可能なため、対向車側にも過失がとられることがある。

非典型例

今回の福井の事故は、片側1車線だが、狭路というわけではないし、カーブというわけでもない。駐車車両があったり道路が工事中だったりしたわけでもない。したがって、以上のどれにも該当しない。いわば非典型例である。非典型例を含めて、具体的に、どういう条件が存在すると、センターオーバーされた側にも過失がとられるのか。センターオーバーされた側にも過失を認定した判例を整理・検討することで、その要件を考えるきっかけにでもならないかと、当記事を書いてみた。

センターオーバーされた側も過失認定された典型例

Ⅰ①カーブでの事故

①東京地裁 昭和47年7月18日判決
カーブでセンターラインを越えてきた被告車との衝突事故につき、原告車にも制限速度10キロオーバーと対向車の発見遅れがあったことによる注意義務違反の過失があったとされ10%の過失を認定された。

 

②福岡地裁小倉支部 昭和57年1月27日判決
見通しの悪い左カーブを時速60キロを越える高速で対向車線にはみ出すような角度で進行し、センターラインオーバーの対向・加害車(貨物自動車)と、自車線に駐車車両があり、先が見通しの悪いカーブなのに漫然と追い越そうとして対向車線に進入し復帰途上に衝突した被害者に50%の過失相殺を認めた事例。

 

③広島地裁 昭和62年6月25日判決
対向車がカーブを曲がり切れず、自車線内に進入してきて衝突された事故につき、加害車を発見しても、警音器を鳴らしただけで減速徐行しなかった被害車に25%の過失相殺が適用された事例。

 

Ⅱ②狭路における事故

 

Ⅲ③障害物が介在した事故

①浦和地裁 昭和58年10月21日判決
路上駐車車両を避けるため対向車線上を進行した原告車と対向車が衝突した事故につき、対向車線を走行していた被告車運転者にも左方への走行を怠ったこと、ならびに制限速度違反の過失等を認め、原告の過失を7割、被告の過失を3割とした事例。

 

Ⅳ①と②の複合型事故

①盛岡地裁 昭和57年1月26日判決
復員3.6mでセンターラインがなく、緩やかなカーブであるうえに、加害車の進行方向に向って下り坂で左側は崖になっている道路において、道路中央よりやや右寄りを時速50~60キロで進行していた加害・普通乗用車が、時速40キロで進行してきた対向の被害・普通乗用車と衝突した事故。右道路幅では対向車は互いに徐行しなければすれ違うことができず、見通しもよくなかったから、被害車にも速度の出しすぎの過失があったとし、両車の速度、被害車が停止したところへ加害車が衝突した事実等を考慮して、被害者に20%の過失相殺を認めた事例。

 

②大阪地裁昭和62年1月29日判決
見通しが悪く、4.5mしかないカーブになった坂道で、A車の右側面後部ドア付近に対向車Bの右前側部角付近が衝突し、B車運転者には一時停止をせず、そのまま進行した過失を、A車運転者には安易にB車とすれ違えるものと考え、ハンドルを左に切っただけで時速約20キロの速度のまま進行した過失があるとして、A車・B車の過失割合を6対4とした事例。

 

③広島地裁 昭和62年6月25日判決
事故現場はセンターラインのない幅員5.7~6.2mのカーブで、それぞれにカーブミラーと警笛鳴らせの道路標識があったものの、見通しの悪い道路だった。にもかかわらず、加害車は前方の安全を十分には確認しないまま警笛も鳴らさず、徐行減速もせず、道路右側部分にはみ出して進行した過失あり、他方、被害車運転者にも徐行減速しないまま進行した過失があったとし、被害者に25%の過失を認めた事例。

 

Ⅴ①と③の複合型事故

①大阪地裁 昭和54年7月10日判決
被告車が駐車車両を避けるために対向車線に進入して原告車と衝突した事故につき、駐車車両があるのでこれを避けて自車線上に進入してくる対向車があることは十分予測され、かつ、衝突地点はかなり急な曲がり角であるから、原告車運転者は安全を確認しつつ減速して進行すべき注意義務があるのに、これを怠ったとして20%の過失相殺された事例。

 

②浦和地裁 昭和58年10月21日判決
事故現場は片側1車線の幅員6.1mの急カーブ上で、路上駐車中の自動車を避けるため対向車線上を進行した原告車と対向被告車との衝突事故。対向車にも左方への走行を怠ったりセンター寄りを走行していたこと、ならびに、制限速度違反(30キロ制限のところを40キロ超で走行)の過失等を認め、原告70対被告30とした事例。

直線路でも対向車に過失相殺された非典型例

①名古屋地裁 昭和50年11月19日判決
追越しのためセンターラインを越え、そのまま200数十メートル逆走してきた加害車と衝突した被害車に15%の過失相殺が適用された事例。

 

②松江地裁 昭和50年12月10日判決
直線路上でセンターラインを越えて走行して来たバスと、バスが漫然と対向してくるのに狼狽して、急制動をかけたためスリップし対向車線に突入したトラックとの衝突事故につき、トラックに60%の過失相殺した事例。

 

③東京地裁 昭和55年3月31日判決
被害直進車がスリップして加害対向車車線内で衝突した事故につき、被害車が制限速度の2倍近い高速度で走行した過失およびブレーキ、ハンドル操作上に過失あるも、加害車にも対向車線へのはみ出し走行、高速走行等に過失があったとされ、被害車に4割の過失相殺が適用された事例。

 

④札幌地裁 昭和57年10月27日判決
国道上を被害車が進行中、対向加害車がセンターオーバーして正面衝突した結果、被害者が死亡した事故。加害者は、最初にセンターオーバーしてきたのは被害者側だと主張するも、本件事故はあるいは被告の主張通りであったのかも知れない。しかし、本件事故が被害者車の進行車線上で発生したことは当事者間に争いがないのであって、そうでなかった可能性もあり、前掲文書がいずれも被告の供述のみに基づいて、又はこれを前提として作成されたものであること、本件事故の目撃者や本件事故の態様を示す客観的な証拠がないことからすれば、前掲証拠をもって本件事故は専ら被害者の過失によるものであることについても、被害者に過失があったことについてもその証明があったとすることはできず、結局被告の抗弁は証拠不十分の故に採用することができない。

 

⑤大津地裁長浜支部 昭和58年5月20日判決
加害車運転者が、幅員9m(うち、高低差のない人道幅員2.2m)の道路を進行中、衝突地点の50.2m手前で、前方約111m地点の自車進路上を対面進行してきた被害車を発見したが、そのままの速度で進行し、29.9m進行した地点で急制動の措置をとるともに、加害車を右へ転把して対向車線へ進入し、直前に進路を左へ戻して対向車線を進行してきた対向被害車と衝突した事故。加害車運転者としては、被害車がやがて正常な進路に復すると考えるのが当然であり、自車線左側に寄って急制動の措置をとり加害車を徐行ないし停止させておけば事故を未然に防止しえたとして、加害車運転者に65%の過失を認定し、自賠法3条但し書きの免責を認めなかった事例。

 

⑥札幌地裁 昭和62年3月16日判決
サイレンを吹鳴して走行中のパトカーが、対向車線を50㌢㍍はみ出して走行した際、対向車線を走行してきた被害車両と正面衝突し運転手が死亡した事案で、被害運転手は当時酒に酔って正常な運転ができない状態であり、かつ緊急車両を確認したなら、道路左端によって譲らなければならない義務を怠ったことから、右パトカーに自賠法3条但書免責を認めた事例。

 

⑦名古屋地裁 平成3年4月26日判決
深夜、先行車を追越そうと対向車線に入ったため対向被害車と衝突した事案だが、ライトで加害車の存在に気づくも速度超過で減速しなかった被害者に2割の過失相殺が適用された事例。

 

⑧札幌地裁 平成5年1月29日判決
加害車のセンターオーバーで対向車と衝突した事案で、対向被害車が制限速度を30キロオーバーしていたことから、1割の過失相殺がされた事例。

 

⑨大津地裁 平成5年4月23日判決
平坦で見通しのよい国道において、原告車がセンターラインを越えて被告車に衝突した事故で、原告車のセンターライン突破が至近距離であったため、急制動を講じたが間に合わなかったものであるとし、被告車の過失を否定した。

 

(以下工事中、判例については順次更新予定)

福井の通称もらい事故についての雑感

新聞報道によると、事故現場は福井県あわら市の「瓜生の国道8号線上」となっていた。さっそくgoogleの地図で調べてみた。下の図がそうだが、「瓜生の国道8号線上」といっても全長1000m以上だし、この現場ならぼくの地元なので何度も通ったことがあるが、地図の下(南)方向(福井方面)はカーブ路にもなっている。

uriumare

事故画像と判決文から、8号線上のどこが事故現場なのかその特定から始めることにした。事故画像をもとに、背景にある建物の形状や判決文からgoogleで調べてみた。判決文によると、石川県方面からみて、画像右のモーテル看板付近にある電柱から2.5m先が衝突地点とあった。したがって、事故現場はここだ。

【センターオーバー車進行方向からの撮影】
jikogenba05

【被センターオーバー車(対向車)進行方向からの撮影】
jikogennba06

センターオーバーされた側にも過失が認定される条件

(つづき)
 

コメント

    • lucky
    • 2016年 7月 07日

    質問です。

    この事故は、対向車運転手に前方不注意の過失を認めたのですか?
    それとも自賠法3条の運行供用責任を認めたものなのでしょうか?
    新聞記事を読むと2つとも認めているようで、私の頭では混乱しちゃいます。

      • ホームズ事務所
      • 2016年 7月 08日

      判決文をいちど読んだのですが、うまく整理できないままほったらかしになっていました。

      センターオーバーされた側に過失が認定された「非典型」事例の判決文を全部読んだ上で、過失に認定される条件を抽出しようと思っていたのですが、ぼくには荷が重かったというか、たいへんな作業になるため、そのままになっていました。実際にこのような事例の調査依頼を受けていたのなら、何よりも優先してやるのですが。

      ご質問の件ですが、自賠法での立証責任は加害者にあり、そのリスクも加害者側が負うため、本件のようなセンターオーバーされた側である加害者に過失があるのかどうかわからないいわゆる真偽不明の場合は、そのリスクを加害者が負わされた結果、過失認定されたのだと理解しています。

      ふつう、この手の事故はセンターオーバーされた側が無過失だと認定されるのですが、今回の判決では、センターオーバーされた側が無過失だとはいえないかもとして真偽不明に持ち込む論理構成をしていたと記憶しています。記憶違いがあるかもしれないので、そのときは記事に追記したいと思っています。

      ご質問に対する返答としてこれでよかったのかどうかわかりませんが、また疑問等ありましたらお寄せください。

    • フジイマサシ
    • 2017年 4月 21日

    センターラインがない道路で、対向車が左側を走行したバイクに寄って来て正面衝突した。むこう損保は3対7を主張されたが当方は納得してくれない!如何なものか?ご教示下さい!やはり最初は、5対5スタートですか??

      • ホームズ事務所
      • 2017年 4月 21日

      フジイマサシさんへ。

      「センターラインがない道路」の場合は、センターラインがあるものと想定します。たとえば道路(正確には車道部分ですが)幅が5mなら道路の中央である2.5mにセンターラインがあるものとします。

      >最初は、5対5スタートですか??
      ケースによりますね。5対5スタートは、道路の中央付近での衝突の場合で、かつ、どちらがセンターラインを越えたのかハッキリしない場合です。センターオーバーしていることが明らかな場合の基本は100対0です。ただし、事故現場がカーブ路なら、センターオーバーされた側にも過失が問われる場合があります。

    • モッコク
    • 2017年 8月 05日

    ご相談申し上げます。先々月、息子がバイクで山の中の道路を走行中(片側1車線、巾3m、センターライン有)左カーブの自車線上で転倒し、滑走して、反対車線に飛び出し、対向してきた65歳運転のワゴン車にひかれ亡くなりました。お互いにスピードは制限スピード+10キロの60キロだったと思います。カーブの状況はやや見通しが悪い。現場の道路は、バイクで走る人が多い道で、対向車のドライバーで地元の人で良く水汲みに来るので、状況はわかぅていたと思われます。この場合、どちらが加害者で、どちらが被害者になるのでしょうか?それと過失割合はどうなるのか?また相手の自賠責保険に死亡保険金を請求できますか?お教えください。

      • ホームズ事務所
      • 2017年 8月 05日

      たいへんな事故で、お悔やみの言葉くらいしかぼくには思いつきません。この種の事故を過去に何度か調査したことがあるので、何かいいアドバイスができたらとも思いました。

      当記事中の「センターオーバーされた側にも過失が問われる場合」の第Ⅰの例に該当するかどうかが気になるところです。事故現場がどこ・どんなところで、事故状況はどうだったのか(衝突地点、衝突後の停止位置)など詳細がわからないし、警察の捜査進捗状況はどうなっているのかもわかりません。

      お役に立てるかわかりませんが、プライバシーにもかかわることなので、こちらのコメント欄よりも、「お問合せ」からのメールのほうがよろしいかと思います。あるいは電話でもかまいません。

    • マエダトシカズ
    • 2018年 1月 17日

    質問させていただきます。
    先日、県道(片側1車線、約3m、センターラインあり)が雪のため一部圧雪状態の中を走行中、対向車が横滑り状態できたため、それを避けようと左へハンドルを切りましたが、除雪された雪の壁があったため避けきれず右側後部に追突されました。圧雪のためセンターラインは見えていませんでしたが、明らかに中央は越えてきていたため100対0になると思っていましたが(相手も自分が悪いと認めている)、相手の保険屋より、走行中であり100対0にはならないであろうと言われましたが、本当にそうなのでしょうか。御教示いただければ幸いです。

      • ホームズ事務所
      • 2018年 1月 18日

      事故状況がいまいちわかりません。この事故は対向車と相談されている方の2当事者間の事故なのか、(追突とあるので)さらに後続車がからんだ3当事者間の共同不法行為型の事故なのか。そこをまずははっきりさせてください。たぶん前者のように思いますが、後者の可能性もあり、念のためです。

      当サイトの以下の記事も参考にしてお答えください。

      積雪のためセンターラインが消え、道路が狭くなっている雪道での事故の過失割合

      交通事故における共同不法行為と判例

        • マエダトシカズ
        • 2018年 1月 22日

        追伸いたします。
        2当事者間の事故であります。路肩に雪の壁はありましたが、十分すりかえできる幅員はありました。

          • ホームズ事務所
          • 2018年 1月 23日

          凍結路上のスリップ事故であっても走行車両は道交法の適用をうけるし、2当事者間の事故であるので、過失相殺率基準本の適用をうけることに変わりありません。したがって、基本は、カーブ路や狭路だった場合などの例外があるにしても、センターオバーした側が100%悪い。このように判断している裁判例もたくさんあります。

          ただし、凍結路上のスリップ事故はそれに特有の問題があります。たとえば風雪の激しさによる視界不良があるかもしれないし、凍結路なので双方が速度に気を付けること、急ブレーキなどの運転方法の不適切や、スタッドレスタイヤ装着の有無など、確認すべきことがいくつもあります。今回のケースではさらに加えて、相談者の車が事故直前に180度近く半転しているようですが、そうなると、相談車の事故前の動き・速度がどうだったのかも確認したいところです。もし相談者の側もスリップを起こしていたのなら、単純に相手がセンターオーバーしたからどうこうとは言えない場合もあります。どちらが先にスリップを起こしたのかも確認したいところです。

          相談者の事例が直線路で有効幅員が6m以上あること。相手のスリップにより自車線内に進入してきたのだったら、相手が全面的に悪い。いや、そうではなくて、6m未満の狭い道路ですり違うのにリスクを感じるようだったら、双方とも減速・徐行・停止などして対向車の動静に注意しながら走行する義務があるため、相談者側にも過失が問われる可能性があると思います。減速していればスリップを起こさなかったのではと疑われる余地があります。狭路で双方スリップ事案につき、札幌地裁平成2年6月29日判決では双方過失割合を折半しています。

          なお、参考までに東京地裁昭和55年3月31日判決を紹介しておきます。当判決は、被害者側のスリップによるセンターオーバー死亡事故ですが、センターオーバされた側である加害者に制限速度の2倍近い速度違反およびハンドル不適切、制動不適切があったとして60%の過失を認めています。

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当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ


その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にし、自己を無責任な立場に置くことになる。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。丸山真男のことばを最後に引用しておきます。

丸山真男から

ゲーテは「行動者は常に非良心的である」といっておりますが、私たちが観照者、テオリア(見る)の立場に立つ限り、この言葉には永遠の真実があると思います。つまり完全にわかっていないものをわかったとして行動するという意味でも、また対立する立場の双方に得点と失点があるのに、決断として一方に与するという意味でも、非良心的です。にもかかわらず私たちが生きていく限りにおいて、日々無数の問題について現に決断を下しているし、また下さざるを得ない。純粋に観照者の立場、純粋にテオリアの立場に立てるものは神だけであります。その意味では神だけが完全に良心的であります。

私たちの社会というものは、私たちの無数の行動の網と申しますか、行動の組合せから成り立っております。社会がこうして私たちの行動関連から成り立つ限りにおいて、私たちは行動あるいは非行動を通じて他人に、つまり社会に責任を負っています。その意味では純粋に「見る」立場、ゲーテの言う意味での完全に良心な立場というものは、完全に無責任な立場ということになります。

したがってこの点でも神だけが、完全に無責任でありうるわけであります。認識することと決断することとの矛盾中に生きることが、私たち神でない人間の宿命であります。私たちが人間らしく生きることは、この宿命を積極的に引き受け、その結果に責任を取ることだと思います。この宿命を自覚する必要は行動関連が異常に複雑になった現代においていよいよ痛切になってきたのです。

世のなかには一方では、認識の過程の無限性に目をふさぎ、理論の仮説性を忘れる独断主義者もいれば、またそもそも認識の意味自体を頭から蔑視する肉体的行動主義者がいます。しかし他方その半面では、物事はそう簡単にはイエスかノーかきめられないのだ、もっとよく研究してからでなければなんともいえないという名目の下に、いつも決断を回避することが学者らしい態度だという考え方がかなり強い。

あるいは対立する政治的争点に対して、あれももっとも、これももっとも、逆にそれを裏返しとして、あれもいけない、これもいけないということで、結局具体的な争点に対して明瞭な方向性を打ち出すことを避ける態度をもって、良識的であるとか、不偏不党であるとか考える評論家やジャーナリストもかなりいるようであります。

たびたびゲーテの言葉を引いて恐縮ですが、ゲーテはこういうことをいっています。「自分は公正であることを約束できるけれども、不偏不党であるということは約束できない。」今申しましたような世上いわゆる良識者は対立者に対してフェアであるということを、どっちつかずということと混同しているのではないでしょうか。
「現代政治の思想と行動」丸山真男 P452-454

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本现场可以用汉语对应、如过在日本有遇到交通事故的无论是中国人还是台湾人、请随时商量、商量的时候、请在网上「留言」。

【推薦図書】

これまでに購入した中で、特に役に立った図書です。アマゾンから購入可能なものに限定しました。アマゾン以外からの購入図書については、こちらこちらの記事をごらんになっていただきたい。

(事故調査)

1⃣
林洋氏の代表作。定番教科書である。現場調査に欠かせない視点を提供してくれる。

 

2⃣
江守一郎氏の代表作。新版(と言っても1984年)あり。これも定番教科書のひとつと言われている。

(過失割合・賠償の範囲に役立つ本)

 

2⃣
交通事故訴訟をリードする東京地裁民事27部の裁判官が参加している。裁判所の判断の傾向を知るのに有用。

 

3⃣
道交法の定番教科書。

 

4⃣
「信頼の原則」という記事を書いた際に、たいへん参考になった。この本なくして「信頼の原則」の記事の信頼度は無きに等しい。

(保険を知るのに役立つ本)

1⃣
これ一冊あれば、任意保険のたいていのことはわかる。

 

2⃣
自賠法条文の解説書。

(後遺障害を知るのに役立つ本)

後遺障害をやるのだったら、これは必読書である。参考文献の紹介も豊富。

 

8⃣
先に紹介した弁護士本をたぶんに意識した本である。つまり、高野他本に載っていない遷延性意識障害とかPTSDとかを積極的にとりあげている。

(交通心理学に関する本)



類書はたくさんあれど、外国の調査研究が宝庫のように詰まっている。

(特殊分野編)
いいもわるいも特殊分野の本なので、これを見るしかないという本。

1⃣
旧版(第2集)は持っているが、その後の判例の展開を示した新版の第3集あり。全損賠償の決定版。

 

 

 

4⃣
上の3著の著者・海道野守氏が一般向けに書かれた物損請求書。古いが、わかりやすくてすごくいい本である。

 

5⃣
これも休業損害分野の唯一の本。毎年のように改定されている。ここの先生は休業損害だけでなく、実は休車損の調査もやられていたから、休車損の本も書いていただけるとありがたいのだが。

(交通事故を考える上で、最初に読んでおきたい本)

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