交通事故に遭った時の車の撮影方法

【出典:Фото Кайф

相談内容

昨日、Yさんからご相談いただいた。停止中の事故か否かというものでそのことをどのように立証するのかが相談内容のひとつだった。ぼくに相談されたのは、車の損傷内容でそれがわかる場合があるというぼくの記事を見てだった。

事故車の撮影方法を知らない人が多い

今回に限らず、事故直後の現場の保存や車の損傷具合を記録にとどめることはたいへん重要である。それが重大事故であればあるほどそうである。そして、せっかく証拠を記録したというのに、その記録の仕方がまずかったため、立証作業に耐えられないものもある。たとえば事故車両の写真撮影。せっかく撮影したのに、写真の撮り方がよくなくて、証拠保全が十分でなかったため後で泣くことはよくあることだからである。

たとえば、ときどき誤解されている方がいて、事故車の撮影は損傷部位だけ撮影すればいいと思っている人がいることだ。損傷部位だけではもちろん足りない。一見すると、視覚的にすぐにわかる損傷部位だけに目を奪われてしまうが、1トンもあるような車両同士がぶつかった場合、その衝撃は車の全体に及んでいるものである。では、どんなふうに撮影するか。

事故車の撮影方法

以下は、某損保の撮影方法マニュアルによるものである。撮影方向は、前後左右の4方向でもいいと書いてある本もあるからそれでも問題がないのだろうが、某損保マニュアルには5方向から行うのが基本であるとなっていた。図は前部を衝突部位とした例である。撮影するときの高さは入力高さにすること。それと、4、5についてはフロントフェンダーとフロントドアの隙間を中心に撮影する。破損部位のクローズアップ写真も撮影すること。
 
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以上は基本撮影なので、破損(あるいは変形)が車体後方にまで及ぶ場合はリア部からの撮影も必要になる。後部が衝突部位なら、同じ要領で撮影する。

あと注意したいのは破損部とナンバープレートがいっしょに写っているものを1枚は用意することである。繰り返しになるが、破損や変形部位だけでなく、全体像も必要である。

エンジンルーム内に損傷がある場合は、外装と違い、部品同士の衝突なので、どれとどれが当たったのか確認して撮影すること。

としている。

付け加えるとすれば、破損部位や変形部位はメジャーとともに撮影すること。この用途に便利なメジャーがあるので、この際だから紹介したい。
 


 
メジャー部分だけを本体からかんたんに取り出せ、ポールのようにして立てられるのが特徴である。数字も大きく写真撮影にもってこいのメジャーだと思う。ぼくもひとつ持っていたのだが、近所のおっさんに貸したら、道路の幅員を計測中に車に轢かれてしまったとか言って、ひしゃげたままのメジャーを返しに来た。警察じゃないんだから、車が来たらすぐにもよけるという頭がないんだなあ。この、おっさん。

5方向では完璧でないとして、7方向を推奨しているところもある。自研センター(注)である。さらに加わる方向というのは上下方向である。上からの撮影はともかく、下から車体を撮影するのは車屋にでも持っていかないとできないだろう。上下方向を加えた理由だが、FF車が損傷した場合、単に上方向からエンジンルームを覗いても、補機類がぎっしり埋まっているため損傷の十分な把握が困難だからであり、そのため、ボディーに対するエンジンの位置のずれによる判断も重要だから、下方向からの撮影も必要なのだそうだ。

(注)

自研センターとは、損保各社が共同出資してできた会社で、

①技術アジャスターや損害保険の社員を主な対象とする研修事業
②事故車の復元修理に関わる参考作業時間である指数の作成事業
③急速に普及が進む自動ブレーキ等の先進安全技術(ADAS)、超高張力鋼板などの新技術・新素材の修理技法の調査研究を行う「リペア開発事業」
④壊れにくく、修理しやすい車の構造や先進安全技術の調査研究を行う「リサーチ事業」

などを事業目的としている。

ぼくも1度だけこの研修に参加した(させられた)ことがある。

 
以上のことに気をつければ、証拠保全としてたいていは足りると思う。もちろん、重大事故なら、以上の点に気をつけながら撮れるだけとったほうが間違いがない。

デジカメでもいいのか

調査員時代、初めのころはフィルムカメラで撮影していた。その後、デジカメが普及しだし、我々も使うようになった。使い始めた当初、デジカメは加工ができるからあまり好ましくないという意見もあったが、そういう意見もいつしかなくなってデジカメを使うほうがふつうになった。

一番いいのは加工ができないフィルムカメラでの撮影であることに間違いない。デジカメはダメとも聞いたことがないから、問題は少ないだろうと思う。問題があるのはポラロイド等のインスタントカメラによる撮影である。携帯電話での撮影も問題があるらしい。

まとめ

撮影は5方向を基本とし、フレームに及ぶほどの損傷の場合は、上下の2方向も検討するというのでいいのではないかというのが結論である。
 
【16・11・04追記】
まとめを追記した。

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当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ

hitininnno
その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にする。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。よろしくです。

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