家族間の事故は免責(保険金・損害賠償金が出ない)になることがある

飲酒運転の発覚をおそれて身代わりを立てるというのはよくある


江守一郎氏の本の例は、飲酒運転の発覚を恐れた夫が妻に身代わり出頭させたものであった。夫の飲酒運転および轢き逃げがばれたら、会社を首になるかもしれない。そのため、専業主婦の妻を身代わりに立てたわけである。このコラムの筋はもっと複雑で、事故状況についての被害者の説明と加害者の説明が食い違ったため(横断歩道に立っていたのと路上に寝ていたとの違い)、江守氏への鑑定依頼があったものだ。
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家族間の事故はどんなときに起こるのか

交通事故で家族が加害者・被害者がなることがある。Aさんの運転する車がセンターラインオーバしてきた対向車と衝突した。対向車はAさんの妻だった…というのが典型的だが、実際にはそうあることではない。よくあるのは自宅駐車場で自分の子どもを轢いてしまったという例。これはときどき新聞記事になる。もっとあるのは、Aさんの運転する車が交通事故を起こし、同乗者である妻がケガをした例である。

家族間の交通事故だと収支はゼロという考え方

損害賠償の主体はふつうは個人であり、個人間でやりとりされる。すなわち、加害者という個人が損害賠償し、それを被害者という個人が受け取る。が、家族間で加害者・被害者の関係が成立すると、個人ではなく家族を一体のものとしてとらえる。そうすると、その収支はゼロになる。家族全体の収支を一つの財布の出し入れとみるならプラスマイナスゼロになるからである。そういう考えがこの免責の背景にある。ただし、自賠責保険と任意保険ではその取扱いが違っている。

家族間事故の自賠責保険での扱い

自賠法3条
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

自賠法は人身事故のみが対象であり、自分のところの自賠責は運転者本人がケガをしても補償されない。運転者は「他人」でないからである。そこで「他人」の範囲が問題になる。

家族間事故の任意保険での扱い

対人・対物

人身傷害

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