「停止距離足りない」女性はね死亡させた男性に無罪判決

【出典:新潟県警察本部HPより。高齢者を区別しているのがすばらしい。ただし、数値自体には疑問あり】
「停止距離足りない」女性はね死亡させた男性に無罪判決
10/12(金) 11:42配信 朝日新聞デジタル

路上に倒れていた女性を軽トラックでひいて死亡させたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた大分県日田市のA被告(70)の判決公判が11日、福岡地裁久留米支部であった。西崎健児裁判官は無罪(求刑・禁錮1年2カ月)を言い渡した。

欅尾被告は2016年10月7日午前5時半ごろ、福岡県久留米市大橋町合楽の国道で、前を走っていたトラックと衝突して転倒した自転車の女性(当時69)をひいて死亡させた、として起訴された。西崎裁判官は「転倒した女性と欅尾被告の軽トラックとの距離は約27メートルだった」と指摘。「この距離では停止距離が足りず、衝突を回避できなかったのではないかという合理的な疑いが残る」とした。

福岡地検の八沢健三郎次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議し、適切に対応したい」とのコメントを出した。

 
本日朝にみつけた朝日新聞の記事である。本文中には氏名をさらし、本件と無関係な「無職」の表示まであった。マスメディアというのは個人に対する配慮、すなわち人権感覚がなさすぎるので、A被告とした。「停止距離が足りない」ことを理由に無罪判決をしたという記事である。

この判決に対して、当該記事のコメント欄をのぞいてみると、絶賛の嵐だ。私の感想は、たったこれだけの情報で絶賛してしまう人の多さ、頭の軽さにびっくりした。特にひどいと思えたコメントを紹介しておこう。


 
「転倒した女性とA被告の軽トラックとの距離は約27メートル」で「停止距離が足り」なかった可能性があるとしているのだが、肝心要の軽トラックの速度がどれだけだったのかが載っていないのだ。それだけでも問題だと思うのに、転倒した女性の位置、法定速度がどれだけだったのかも記されていない。さらに、事故回避の手段は急ブレーキだけではないだろう。ハンドル操作による回避だって場合によっては可能かもしれないのである。その判断のためには、事故状況や現場の状況がわからないと画期的かどうかの判断はできないはずである。

現場の状況について取り上げてみると、すなわち、現場は国道とあるが、片側1車線なのか、それとも2車線、あるいは3車線なのか。事故当時、対向車がいたのかどうか。天気がどうで、路面は乾燥していたのかどうか、事故発生時刻が「10月7日午前5時半ごろ」になっているが、これだと真っ暗というわけでもなく、あたりは白みかけていたのではないのかなど、それを判断するうえでの重要なことが何も書かれていない。よくこんなので画期的判決などと評価し、手放しで褒めたたえる人がいること、そのあまりの多さに、恐怖さえ覚えた。

google地図で検索したら、現場は片側1車線直線路だということがわかった。

【追記】
その後、読売新聞が同事件を記事にしていた。以下がそれ。

女性ひかれ死亡、後続車運転の男性に無罪判決
2018年10月11日 21時32分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

福岡県久留米市で2016年10月、新聞配達をしていた女性(当時69歳)をひいて死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われた大分県日田市のA被告(70)に対する判決で、福岡地裁久留米支部(西崎健児裁判官)は11日、無罪(求刑・禁錮1年2月)を言い渡した。

事故は16年10月7日午前5時半頃、久留米市大橋町合楽の国道210号で発生した。被告の前方を走行していたトラックが自転車の女性と衝突。転倒した女性を被告の軽トラックがひいて死亡させた。

判決は、女性が倒れた地点と軽トラックとの距離が約27メートルだったと指摘し、過失について検討。被告は制限速度の時速50キロ程度で走行しており、西崎裁判官は「アスファルトの乾燥状況などによっては、27メートルで停止するのは不可能な場合もある」と判断。「女性を発見して急ブレーキをかけても、回避できない特殊な事案だった疑いが残る」と結論付けた。

 
こちらも氏名や「元何々業」などと書かれていた。必要があるとは思えないので当記事では伏せた。
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