当て逃げによる逃げ得を絶対許さない

深夜、当て逃げされた

本日早朝6時57分、留守にしていた自宅から電話があった。妻からである。目が覚めて自宅から外に出ようとしたら、自宅敷地内に駐車していた車が玄関をふさぐ形で半転しており、右側面後部が大破し、右後部タイヤがねじれている。敷地内の花壇も石段がえぐられたようにして壊れており、いったいどうしてこんなことに、どうしたらいいのかと言ってきた。自宅敷地内に車が突っ込み、当て逃げされたのだと直感した。すぐにぼくのほうから警察へ連絡した。急いで自宅に向かい、着いた時は、警察官3人がすでに来ており、現場検証を行っていた。

警察官が現場の検証をしたところ、これだけ大きな事故なのに、外れたバンパーとかの大きな破損部品がひとつもみあたらないため、加害車の特定ができないという。たしかにあってもおかしくない大きな破損部品がひとつもみあたらなかった。それで、ぼくも検証に加わった。しばらくして、妻の車の下に、フォグ・ランプ部の大き目な破損部品をみつけた。そこにはメーカー名と型番が印されてあった。警察官にその部品をみせ、その場で車種を特定していただいた。

フォグ・ランプが決め手

心配事がいくつかあった。当て逃げの物損事故なので警察がどこまで本気でやってくれるのかわからない、すごく不安だった。保険代理店からは、加害者不明なら車両保険がおりないと言われていたからである。もしも当て逃げ犯が特定できないなら、市内の全修理業者をしらみつぶしに当たることまで覚悟していた。逃げ得は絶対許さない。ぼくにだって元事故調査員だった矜持ってものがある。そう思いながらこの記事を書いていたところ、警察から連絡がきた。当て逃げ犯が見つかったのだという。フォグ・ランプ部の破損部品が決め手になった。

やれ・やれだ。こんなにすばらしくはやく犯人をみつけるとは、地元警察署に感謝したい。

いいかげんな保険代理店

ところでだ。保険代理店への不満を一言言いたい。当初、加害者の特定ができない当て逃げ事案であり、妻の加入保険は条件つきの車両保険(車対車+限定危険)だったため、加害者が不明な場合は車両保険がおりないということだった。そして、加害者がわかったとしても加害者に請求するしかないというのだ。そんなふうに断定的に言われると、こっちもそういう条件の車両保険なのかと思ってしまった。しかし、ちょっと変だなあとも思ったので、あとでネットで調べてみたら、加害者が特定された場合は車両保険の支払いが可能なのであった。

いいかげんな保険代理店だなあ。そこであらためてもう一度代理店に連絡した。すると、先の説明はいわゆるスジ論だというのだ。すなわち、加害者に請求するのがスジ、それがだめなら自分の保険を使う。そういう意味である。

ああ、ばからしい。ぼくはそういうスジ論を聞いているのではなくて、車両保険が使えるかどうかを聞いているのである。もちろん、スジとしては加害者に請求すべきである。車両保険では、格落ち損害は出ないし、代車請求もできない。等級だって3つもあがる。そんなことは言われなくてもわかっている。が、加害者が特定されたとしても、保険にはいっていなかったらどうするのか。保険にはいっていたとしても、今後の示談交渉がうまくいかなかったらどうするのか。仮に以上の不安がまったくなく杞憂だったとしても、相手の対物を使おうが、こちらの車両保険を使おうが、実はこちらの勝手なのである。

車両保険の填補範囲と対物賠償の填補範囲が一致しない場合

それともうひとつ。別記事で書いたことだが、留意したいことなので、引用しよう。

車両保険について言及されていたので一言しておきます。被害者が車両保険を使用した場合、保険会社は加害者に対して、被害者に支払った車両保険金の範囲で、かつ被害者の加害者に対する損害賠償請求権を害さない範囲で、加害者に求償できることになっています。したがって、車両保険の填補範囲と対物賠償の填補範囲が必ずしも一致するわけでなく、一致しない部分については、相談者が加害者側にその不一致部分について請求できます。

より正確にいうと、被保険者は、車両保険金の支払を受けた後であっても、未填補損害が残存するかぎり、自分の保険会社に優先して損害賠償請求権を行使でき、保険会社は、被保険者の同権利行使を害しない残額についてのみ、同請求権を代位取得できるにすぎません。

事故被害者と事故加害者が利益の一致するとき

本日夕方、加害者が未成年者だったため親同伴で自宅に謝罪にいらした。ぼくはひとつだけ念を押した。当方は過失ゼロ主張なので、損保との示談交渉はぼくがやる。無理難題を言うつもりはまったくない。失ったものをきちんと金銭的解決をしていただければそれでけっこうである。したがって、今回の件では、法律上の正当な主張をするつもりである。

ただし、加害者加入の保険会社が自社基準、いわゆる内規にこだわって示談交渉がうまくいかなかった場合は、ご協力いだだきたい。どういう協力か。そのことは別記事で書いたことがある。→「事故被害者と事故加害者が利益の一致するとき」
 
今回は、加害者の協力を得た上で相手損保との示談交渉に臨もうと思う。どこまで成功するだろうか。

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当事務所の立場

突然、交通事故にあわれた被害者は、怪我をされたり、車を破損などされたりして大変なことです。その損害の賠償をしてもらうために、これから、加害者そして加害者側の損保担当者を相手に示談交渉を進めなければならなくなります。しかし、交通事故は人生でそう何度も経験するわけではありません。なにをどのようにしたらいいのか途方に暮れてしまうのがふつうです。

ところが、事故被害者がまず相手にするのが加害者であり、そして、実際は加害者側損保の担当者です。損保の担当者はそのことで生計を立てているいわばプロであり、百戦錬磨で鍛えた知識と経験があります。かたや、知識も経験もほとんどない事故被害者。そんな素人がプロ相手にどのように交渉していったらいいのでしょうか。

交通事故に詳しい弁護士が知人にいるような幸運な方は別にして、たいていの方は途方に暮れてしまうことでしょう。一昔前は、素人とプロの交渉ごとということにふつうはなって、プロの思い描くストーリーどおりに押し切られるのがふつうでした。しかし、ネットが発達した現在、示談交渉を進める上での情報がネットを検索すればあふれかえっています。が、その情報は正しいものもあれば正しくないものもある。玉石混淆です。それらの情報に接した事故被害者にとって、どの情報が正しくて信頼できるのかがまずわかりづらいし、自分だけでは手に負えなくて、調査や交渉ごとをだれかに任せることも時に必要になってきます。が、ネット上には、われこそは事故被害者のためだと謳っているものばかりなので、実際にいったいだれを信頼したらいいのかわかりません。

知識とは中立なものであること

ここで注意してほしいのは、情報の正確さもさることながら、その情報(知識)そのものが中立なことです。

昔、東大卒が多い自民党が間違えるはずがないと豪語している自民党支持者に会ったことがあります。ぼくは苦笑するしかありませんでした。たしかに東大卒は勉強をいっぱいしているわけだから、その知識量も多くかつ正確だといえるかもしれません。ただ、知識それ自体はあくまで中立なものであり、どちらにも役に立つ武器なのです。したがって、その正確でたくさんの知識をどちらの側に使うかにある。わかりやすいたとえ話をしてみましょう。

知識は刀という武器と同じ


その昔、武士という職業が存在しました。この武士は帯刀を許された職業のことであり、刀の専門家です。殿様を頂点にして、殿様に雇用され、殿様を守るために武器である刀の技術を日夜みがいていた。

この武器である刀自体は殿様を守るためにも使えるし、農民に加勢して殿様に刃向かうためにも使えます。しかし、悲しいかな、現実は殿様を守るために使われた例が圧倒的に多く、農民に加勢するために使われた例など不幸にしてきわめて少なかった。ごく稀に後者のような武士が現れますが、こういう武士こそ庶民にとっての英雄であり、「七人の侍」はまさにそのようなタイプの武士たちでした。

利益が一致しているか相反しているかが重要

したがって、問題はその使い手自身にあります。使い手がどちらの側に立つかで知識もそれぞれの側の武器になる。そして、その使い手がどちらの側に立つかは双方の利益が一致するか相反するかでふつうは決まってきます。

この、肝心要のことを説明したサイトが皆無といっていいほどにみあたらないのは不思議なことです(というか、あえて否定しているサイトさえいくらでもみつかるくらいです)。

記事を読んでいただければたちどころにわかることですが、当事務所は「立場」を鮮明にしております。あえて鮮明にしているのは、人間や社会に対する見方は、その人自身の立場から自由にはならないからです。中立を装うことは考察を浅くし、論旨を不明確にし、自己を無責任な立場に置くことになる。「立場」のない「立場」などありようがない。当事務所の立場は、ぼく自身が社会的弱者であるため、弱者の立場に徹することです。ぼくのような弱虫は「七人の侍」のようには決してなれないけれど、せめてその心意気だけでも真似して、社会的強者に阿らないようにしたい。そういう気持ちで当サイトをたちあげました。丸山真男のことばを最後に引用しておきます。

丸山真男から

ゲーテは「行動者は常に非良心的である」といっておりますが、私たちが観照者、テオリア(見る)の立場に立つ限り、この言葉には永遠の真実があると思います。つまり完全にわかっていないものをわかったとして行動するという意味でも、また対立する立場の双方に得点と失点があるのに、決断として一方に与するという意味でも、非良心的です。にもかかわらず私たちが生きていく限りにおいて、日々無数の問題について現に決断を下しているし、また下さざるを得ない。純粋に観照者の立場、純粋にテオリアの立場に立てるものは神だけであります。その意味では神だけが完全に良心的であります。

私たちの社会というものは、私たちの無数の行動の網と申しますか、行動の組合せから成り立っております。社会がこうして私たちの行動関連から成り立つ限りにおいて、私たちは行動あるいは非行動を通じて他人に、つまり社会に責任を負っています。その意味では純粋に「見る」立場、ゲーテの言う意味での完全に良心な立場というものは、完全に無責任な立場ということになります。

したがってこの点でも神だけが、完全に無責任でありうるわけであります。認識することと決断することとの矛盾中に生きることが、私たち神でない人間の宿命であります。私たちが人間らしく生きることは、この宿命を積極的に引き受け、その結果に責任を取ることだと思います。この宿命を自覚する必要は行動関連が異常に複雑になった現代においていよいよ痛切になってきたのです。

世のなかには一方では、認識の過程の無限性に目をふさぎ、理論の仮説性を忘れる独断主義者もいれば、またそもそも認識の意味自体を頭から蔑視する肉体的行動主義者がいます。しかし他方その半面では、物事はそう簡単にはイエスかノーかきめられないのだ、もっとよく研究してからでなければなんともいえないという名目の下に、いつも決断を回避することが学者らしい態度だという考え方がかなり強い。

あるいは対立する政治的争点に対して、あれももっとも、これももっとも、逆にそれを裏返しとして、あれもいけない、これもいけないということで、結局具体的な争点に対して明瞭な方向性を打ち出すことを避ける態度をもって、良識的であるとか、不偏不党であるとか考える評論家やジャーナリストもかなりいるようであります。

たびたびゲーテの言葉を引いて恐縮ですが、ゲーテはこういうことをいっています。「自分は公正であることを約束できるけれども、不偏不党であるということは約束できない。」今申しましたような世上いわゆる良識者は対立者に対してフェアであるということを、どっちつかずということと混同しているのではないでしょうか。
「現代政治の思想と行動」丸山真男 P452-454

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本现场可以用汉语对应、如过在日本有遇到交通事故的无论是中国人还是台湾人、请随时商量、商量的时候、请在网上「留言」。

【推薦図書】

これまでに購入した中で、特に役に立った図書です。アマゾンから購入可能なものに限定しました。アマゾン以外からの購入図書については、こちらこちらの記事をごらんになっていただきたい。

(事故調査)

1⃣
林洋氏の代表作。定番教科書である。現場調査に欠かせない視点を提供してくれる。

 

2⃣
江守一郎氏の代表作。新版(と言っても1984年)あり。これも定番教科書のひとつと言われている。

(過失割合・賠償の範囲に役立つ本)

 

2⃣
交通事故訴訟をリードする東京地裁民事27部の裁判官が参加している。裁判所の判断の傾向を知るのに有用。

 

3⃣
道交法の定番教科書。

 

4⃣
「信頼の原則」という記事を書いた際に、たいへん参考になった。この本なくして「信頼の原則」の記事の信頼度は無きに等しい。

(保険を知るのに役立つ本)

1⃣
これ一冊あれば、任意保険のたいていのことはわかる。

 

2⃣
自賠法条文の解説書。

(後遺障害を知るのに役立つ本)

後遺障害をやるのだったら、これは必読書である。参考文献の紹介も豊富。

 

8⃣
先に紹介した弁護士本をたぶんに意識した本である。つまり、高野他本に載っていない遷延性意識障害とかPTSDとかを積極的にとりあげている。

(交通心理学に関する本)



類書はたくさんあれど、外国の調査研究が宝庫のように詰まっている。

(特殊分野編)
いいもわるいも特殊分野の本なので、これを見るしかないという本。

1⃣
旧版(第2集)は持っているが、その後の判例の展開を示した新版の第3集あり。全損賠償の決定版。

 

 

 

4⃣
上の3著の著者・海道野守氏が一般向けに書かれた物損請求書。古いが、わかりやすくてすごくいい本である。

 

5⃣
これも休業損害分野の唯一の本。毎年のように改定されている。ここの先生は休業損害だけでなく、実は休車損の調査もやられていたから、休車損の本も書いていただけるとありがたいのだが。

(交通事故を考える上で、最初に読んでおきたい本)

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